情報通信セクターなどに注目。業種内での選別物色の流れも強まる見込み

 8月14日の時点でほとんどの企業の4-6月期決算発表が終了しました。売上高は前年同期比で18%程度の減少となり、2009年7-9月期以来の2ケタ減となっているもようです。また、自動車や鉄鋼などを筆頭に9業種が最終赤字となり、純利益は同57%減益で、7四半期連続で前年同期を下回る形になっています。

 一方で、新型コロナ対策関連商品の他、生活様式の変化を背景とした需要の増加で、予想以上に業績を伸ばす企業も多く散見されました。業績悪化企業は、従来想定されたよりも正常化への時間を要しそうで、4-6月期好決算銘柄の優位が当面続く可能性もありそうです。

 新型コロナウイルスのワクチン開発は今後も進展するとみられ、今後も株式市場の期待材料となるでしょう。ただ、各国の企業活動再開による景気回復や企業収益回復期待は一服する可能性もあります。

 いち早く景気回復を果たした中国などでも、7月の小売売上高は予想外の減少となっています。コロナ禍で大きな影響を被った小売りセクターなども、先行きの所得減少などを警戒しての、消費の回復の鈍さが意識されていきそうです。

 また、米国株高をけん引してきたハイテク株、いわゆるFANG銘柄なども足元で上値の重さが意識されてきており、日本株にとっても大きなリスク要因となりそうです。

 もともとは、最悪期となる4-6月期の決算発表があく抜け材料となって、株価の戻りに弾みがつくとみられていましたが、ここまでの株価の戻りが想定以上に速まっていたため、ここから一段の株価上昇期待は高まりにくいところです。

 中でも、構造的な生活様式の変化で恩恵を受ける情報通信セクターなどには引き続き関心が高まるものと考えます。また、財務体質の悪化によって、設備投資や人材採用など企業活動に制約が生じてくる企業も出てくると考えられ、セクター間での銘柄選別の動きはこれから強まっていく公算が大きいとみられます。