最高益更新が続くシステムインテグレーター

 こうした環境変化を受け、ITインフラ構築を手がけるSI(システム・インテグレーター)には、コロナ下でも業績好調な企業が増えています。コロナ危機で日本中の企業業績が急激に落ち込む中、システムインテグレーターには、最高益あるいは最高益に近い利益を続ける企業もあります。

<最高益更新が続く野村総合研究所、オービック>
前期(2020年3月期)連結営業利益(実績)

今期(2021年3月期)連結営業利益(会社予想)

出所:各社決算短信

【1】野村総合研究所(4307)
 野村総合研究所は、野村系SIで、コンサル・システム開発・運用を一貫して提供できることが特色です。金融・小売業に強みを持ちます。金融業では、キャッシュレス決済対応、省力化デジタライゼーション対応で、開発案件が増えています。小売業も、省力化、EC対応の開発が増えています。ただ、足元、コロナ危機で、小売業に業績が著しく悪化するところが増えているのは逆風です。

【2】オービック(4684)
 オービックは、独立系SIで、主力のERPが安定成長しています。中小・中堅企業向けで強みを持ちます。大企業でなく、中堅・中小企業向けを得意としていることが、連続増益を続けていける秘訣となっています。大企業向けビジネスは金額は大きいが、競合が激しく、時に不採算案件を生むことがあります。

 それに対し、中堅・中小向けビジネスは、1件1件の金額は小さくても、しっかり採算がとれるのが強みです。ITインフラ整備で出遅れた中堅・中小企業が、近年投資を増やしていることが追い風です。