ドル安/円高の進行による日米株式市場の下振れを警戒

 続いて、ドル/円チャート(日足)で為替市場の動きをチェックします。

■(図3)ドル/円のチャート(日足)(2020年7月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 最近はドル安・円高基調が続き、104.2円まで円高が進んだ後、106円台付近まで大きく切り返しています。それに伴って日経225先物も上昇したわけですが、ひとまず今年のメインレンジとされる106~108円台に食らいついている格好です。

 また、下の図4は、31日(金)の分足(5分足)チャートで見た日経平均とドル/円の推移です。

■(図4)日経平均とドル/円のチャート(5分足)(2020年7月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 日経平均は10時から11時にかけて2万2,000円台の攻防が続いていましたが、為替の円高水準が1段階進んだことで、大引けにかけて下げ幅を拡大する展開となっています。そのため、足元の株式市場は為替の動きの影響を受けやすくなっている可能性があります。

 国内株市場が終わった後の為替市場が円安へとかじを切っているため、今週の株式市場もそれに合わせて株価水準を切り上げてくることが予想されますが、米中対立をはじめ、コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う実体経済の悪化、米追加経済対策で協議が難航していることなど、ドル安/円高が進みそうな材料が多いことには注意です。

 先週発表された、米GAFA企業の決算はアルファベット(グーグル)を除いて、市場予想を上回る内容だったことで米株市場が支えられた面があります。今後もハイテク関連株に資金が集まりそうですが、7月末で失業給付の週600ドル加算される特例措置が失効し、追加の経済政策の協議と内容次第では、個人消費をはじめとする米国景気に影響が出ることも懸念されます。

 そのため、今週は株価の反発を見せる場面がありつつも、よほどの好材料がない限り上値は重たく、同時に決算を手掛かりとした個別物色で方向感が出にくい展開がメインシナリオ、そして、為替市場でのドル安/円高が進行することによる日米株式市場の下振れをサブシナリオとして警戒する必要がありそうです。