日経平均は6日続落。早期に2万2,000円台回復のシナリオは?
7月最終週だった先週の国内株市場ですが、週末7月31日(金)の日経平均終値は2万1,710円となり、節目の2万2,000円台を下回ってしまいました。週足ベースでも3週ぶりの下落、前週末終値(2万2,751円)からの下げ幅は1,041円と大きくなっています。とりわけ、31日(金)の下落(前日比629円安)が印象的です。
今週より8月相場入りとなります。今週は国内企業の決算発表ラッシュで、約1,300銘柄が予定されていますが、日経平均はこのまま下落が加速していくのか、それとも反発を見せるのかが気になるところです。とりあえず、いつもの通り足元の状況から確認していきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年7月31日取引終了時点)
あらためて、先週末までの値動きを振り返ると、日経平均は6日続落となっており、週を通じて下落基調をたどりました。ここまで続落するのは、2019年4月26日~5月14日の7日続落以来、約1年3カ月ぶりです。また、株価と移動平均線との絡みでは25日・200日移動平均線を下抜けています。特に、31日(金)のローソク足が安値引けの大陰線となっていることも下げの勢いを感じさせています。
さらに、前週まで形成していた「ペナントボックス」が崩れて下放れが明確になっているため、チャートの形状は悪くなっています。これまでにも紹介してきたふたつのブレイクラインのうち、上値のブレイクラインから、6月15日の直近安値(2万1,529円)による下値のブレイクラインへと一気に意識が向かったような格好です。
とはいえ、6日続落による「そろそろ反発しても良さそう」感や、まだ上向きとなっている75日移動平均線のサポート期待などで、いったん株価が反発する動きが想定されます。実際に、先週末の日経225先物取引が大阪取引所で2万1,940円、CME(シカゴ)が2万1,945円と上昇して終えており、早期に2万2,000円台を回復するシナリオも残されています。
まずは週初の日経平均が200日移動平均線を抜けきることができるかが注目点です。6月15日~16日に見せたような急落直後に急反発するというパターンです。
NYダウは上値重いが、チャートの見た目は堅調
ただし、問題なのは目先で株価が反発したとしても、再び上値を目指せる状況へとつながるかどうかです。
それについては、週末の日経225先物取引が上昇に転じる背景となった、米株市場の動きと為替市場の動きから考えてみます。
■(図2)米NYダウ(日足)の動き(2020年7月31日取引終了時点)
先週末31日(金)のNYダウ平均株価終値は2万6,428ドルとなり、前日比で114ドル高と反発しました。
引き続き、2月12日高値と6月8日高値を結んだラインを抜け切れず、上値の重たさに変わりはありませんが、下値についても25日・200日移動平均線がサポートとなっています。
また、週末にかけて下ヒゲがかなり長い陰線が立て続けに2本出現していますが、ヒゲの下限が2本とも2万6,000ドルあたりとなっています。しばらくはこの2万6,000ドル水準が防衛ラインとして機能しそうです。
下ヒゲが長いということは、安いところで比較的強い買い戻しが入っていることを意味するため、「強くはないものの、しっかりしている」印象となっていますが、好調な決算だった構成銘柄のアップルの大幅上昇がなければ、31日(金)のNYダウは下落していたことを踏まえると、実際のところはチャートの見た目ほど堅調ではないかもしれません。
ドル安/円高の進行による日米株式市場の下振れを警戒
続いて、ドル/円チャート(日足)で為替市場の動きをチェックします。
■(図3)ドル/円のチャート(日足)(2020年7月31日取引終了時点)
最近はドル安・円高基調が続き、104.2円まで円高が進んだ後、106円台付近まで大きく切り返しています。それに伴って日経225先物も上昇したわけですが、ひとまず今年のメインレンジとされる106~108円台に食らいついている格好です。
また、下の図4は、31日(金)の分足(5分足)チャートで見た日経平均とドル/円の推移です。
■(図4)日経平均とドル/円のチャート(5分足)(2020年7月31日取引終了時点)
日経平均は10時から11時にかけて2万2,000円台の攻防が続いていましたが、為替の円高水準が1段階進んだことで、大引けにかけて下げ幅を拡大する展開となっています。そのため、足元の株式市場は為替の動きの影響を受けやすくなっている可能性があります。
国内株市場が終わった後の為替市場が円安へとかじを切っているため、今週の株式市場もそれに合わせて株価水準を切り上げてくることが予想されますが、米中対立をはじめ、コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う実体経済の悪化、米追加経済対策で協議が難航していることなど、ドル安/円高が進みそうな材料が多いことには注意です。
先週発表された、米GAFA企業の決算はアルファベット(グーグル)を除いて、市場予想を上回る内容だったことで米株市場が支えられた面があります。今後もハイテク関連株に資金が集まりそうですが、7月末で失業給付の週600ドル加算される特例措置が失効し、追加の経済政策の協議と内容次第では、個人消費をはじめとする米国景気に影響が出ることも懸念されます。
そのため、今週は株価の反発を見せる場面がありつつも、よほどの好材料がない限り上値は重たく、同時に決算を手掛かりとした個別物色で方向感が出にくい展開がメインシナリオ、そして、為替市場でのドル安/円高が進行することによる日米株式市場の下振れをサブシナリオとして警戒する必要がありそうです。
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