リスクに見合ったリターンを得るのが株

―株式のリターンは、どこから発生するのでしょうか?

山崎 仮に、20年後までに200の価値を生み出すことを期待できる企業があったとします。ただし、200の価値はあくまで期待値であり、確実なものではありません。こうした場合、その企業の株をいくらで買うのが妥当なのかを考えてみましょう。

図解入りで分かりやすい誌面

 年率3.5%の複利で20年間運用すると100の元本がおおよそ200に増えます。なので、もしもこの企業の株を100で買えるなら、それと同じ結果となりうるわけですが、株の場合は期待を裏切られるリスクもあります。

 そのリスクを踏まえると、100で買うのはいかがなものかと投資家たちが見定めていくことで形成されるのが「株価」という価格なのです。株価が決まる際にはリスクに対するプレミアム(追加的なリターン)がつくので、現状のゼロ金利を前提とすると、この場合は、3.5%がリスクプレミアムとなります。

 このリスクプレミアムが5%に達すれば、20年後に200の価値を生むことが期待される株を、今なら75で買えるという計算になってきます。こうして株式市場が価格をつけてくれているので、それを目安に株を買って資本を提供し、リスクに見合ったリターンを得ようというのが株式投資なのです。

 私は「トウシル」への寄稿でも「投資の本質はリスクプレミアムのコレクションだ」という表現をよく用います。リスクプレミアムをいかに効率よく取り込んでリターンを実現していくかが投資の本質だと思います。リスクプレミアムには、時間に対してつけられている金利のような側面があります。長い時間をかけてお金を置いておかないとリスクプレミアムは実現せず、その意味でも長期投資が望ましいという結論になります。

 また、同じリターンを得られるなら、取るべきリスクは低いのに越したことがありません。低いリスクを効率的に取るように心がければ、より多くのリターン獲得を目指し、より多くの金額を投ずることが可能となります。