コロナ禍相場への教訓

コロナ禍相場への教訓として、リーマン危機、ITバブル破裂、世界大恐慌の3つの歴史的事例から何を留意すべきか、私なりの見方を三つ列挙します。

1:金融相場に過信は禁物

 足元の株式の金融相場の持続性に過信は禁物。空前の財政金融政策、経済の大底からの活動再開で目線は上向いていますが、withコロナ経済の重さは中期的にはかなり意識されると警戒しています。

2:中期的な政治リスクに注意

 金融相場は期待主導であり、その期待を支える主因が政策への信頼です。ここまで果敢に対応してきた政策当局が、どこかで手を引くことは想定されません。しかし、短期的には期限のある政策の延長・引き継ぎ、追加政策導入がもたつくなどの段差、中期的には政策の行き届かなさ、効果不足、長期的には「出口」が市場を神経質にする場面があり得ます。民主主義国では、米大統領選挙など、選挙で政策の継続に懸念が生じることもリスクです。

3:コロナ・テーマ株への安易な投資

 コロナ・テーマ株への付和雷同的な投資も、相場が上がるほど警戒を要します。コロナ禍が経済・社会の変化を加速させ、そのテーマを狙う投資に大きな妙味はあるでしょう。ただし、期待先行で進む相場になることは免れないことも留意する必要があります。銘柄の吟味、リスク分散、相場の地合いと時機へのアンテナなど、当然と言えば当然の注意ですから、慢心せず、怠らないように臨んでいただきたいと願います。

 コロナ禍の金融相場について、従来からの基本想定に変更はありません。

 7月の一進一退を経て、押し目買い勢力に支えられて8月は底堅く、海外ファンドの夏休み明けにはしっかり、ただし、この金融相場が7割回復経済の重さ、北半球秋冬期のコロナ感染第2波への警戒、米大統領選などの重大リスクをすんなり超えられるかは相当に警戒すべき、というイメージです。相場がここで調整に入ると、3つの歴史的事例とどこか似た韻を踏んでいるように思えるかもしれませんが、その背景事情が必ずしも同じでないことは、当レポートでお分かりいただけるでしょう。韻を意識しつつも、対応は必ずしも同じではないと考えて臨んでいます。