米国の経済活動再規制

 7月に入って日米欧の株を引っ張ってきた上海株は、上述したように中国当局の抑制策が出てきたことから、上海株の勢いは止まりました。欧米株は上海株の後押しがなくなりましたが、ワクチン開発の期待や、今週から本格化する米企業決算への期待から株は上昇しています。

 ただ、注意しておかなければいけないことがあります。7月13日のNYダウ平均株価は500ドル以上上げていたのですが、米カリフォルニア州が新型コロナウイルス患者急増を受け、レストラン、バーなど室内での営業を再び制限との報道が伝わると、上げ幅を急速に縮小し、結局10.50ドル高で終えたこと。経済活動の再規制が株の勢いをそぎました。

 米国の新型コロナウイルス感染者数は経済活動再開後も増加しているものの、感染拡大による経済停滞は起こらないと楽観的に受け止められてきました。その背景は、4月と比べて若者の感染比率が高く、比較的軽症者が多いことや、1日あたりの死者数が3分の1程度にとどまっていることがあるようです。従って、トランプ米大統領が強調するように「状況は改善している」とみられていました。

 しかし、さすがに米国全体で新型コロナウイルス感染者数が330万人を超え、1日当たり6万人超の感染者が出てくると、経済活動を再規制する州も出てきました。上述したカリフォルニア州やオレゴン州などです。感染者が急増し、州別の1日当たりの感染者数が最多のフロリダ州や、1万人を上回っているテキサス州などは、まだ規制の動きは見られませんが、その動向には注目する必要があります。

 今後は、感染者数の急増だけでなく、数週間遅れるとみられる死者数も増加してきた時に、楽観的な見方が後退してくるのかどうかに注目です。感染者数が急増したフロリダ州は先週後半から死者数も増えてきているようです。