マッチング拠出ができる場合、iDeCoとどちらがいいか

 積み立てられる金額については前ページのとおりですが、それ以外にもiDeCoとマッチング拠出には制度上の違いがあります。ポイントは大きく2つに分かれます。

ポイント1:iDeCoに入る場合、口座管理手数料は自分持ち(企業型DCは全額会社持ちのことがほとんど)

 iDeCoは他の口座と異なる特徴として実費での運営コスト負担があります。楽天証券やいくつかの金融機関は運営管理機関側の手数料を無料としていますが、国民年金基金連合会と信託銀行(資産管理を担う)が徴収する月171円を払う必要があります。

 しかし、企業型DCでは基本的に会社が全額負担をしており、マッチング拠出利用者のみ費用負担を求める例はほとんどありません。マッチング拠出の税制優遇はiDeCoと同様ですから、年間2,052円を負担しない分、マッチング拠出は有利といえます。

ポイント2:iDeCoの商品ラインナップは自分で選べる(企業型DCは会社が一方的に決めている)

 運用商品のラインナップでは、企業型DCよりiDeCoのほうが優れていることがしばしばあります。特に信託報酬(運用管理費用)については、2000年代の設定がそのまま残っていた企業型DCの場合、割高になっている傾向がみられます。

どうすればいいか?

 運用商品の追加設定をしているか、2010年代以降に導入して運用コストの低い投資信託をラインナップしていた場合は、企業型DCにも信託報酬が低い投資信託が含まれていることがあります。しかし、「つみたてNISAの水準より高い」投資信託ばかりであれば、マッチング拠出よりiDeCoのほうがいいでしょう(例えば、日本株で運用するインデックスファンドが年0.7%以上だったり、バランス型ファンドが年1.5%以上だったり)。

 その他、iDeCoに入ると「口座管理が2つに分かれる」という問題もあります。気にしない人にとっては気にならない要素ですが、面倒さが増す、と感じる人はマッチング拠出にして「確定拠出年金口座は1つにしておく」のほうが楽かもしれません。