投資額を大きくすることができるが、損失も大きくなる信用取引

虎の巻2信用取引は実際に持っている資金を担保にして、その約3倍のレバレッジを利かせた金額まで株式取引ができる
資金効率がいいメリットの半面、利益、損失ともに、レバレッジが掛かった結果となる。高いリターンを期待できる一方で、リスクも高くなる

タケル 分かっていますよ。さっきも言いましたけど、信用取引は自前資金の約3倍分の額まで、取引ができるんですよね。

ドーシタ師範 そうじゃ。信用取引のメリットの一つとして、自前の投資資金を担保に、具体的には自前資金の3倍程度の株式取引ができるのだ。自前資金が50万円あった場合、最大でその約3倍の150万円分くらいの株式取引ができる。ただ、この担保である保証金は最低額が決められている。例えば、楽天証券の場合、30万円が保証金の最低額だ。

タケル ボク、保証金がギリギリだった。

ドーシタ師範 ここで言いたかったのは、約3倍のレバレッジを効かせて取引した場合、その利益も3倍の恩恵にあずかることができるが、一方で損失の場合も、3倍のレバレッジの分、大きくなるということだ。

タケル 下落しても損切りしなければ、株価が戻るまで待てばいいですよね。

ドーシタ師範 タケルよ。もう忘れたのか、信用取引には期限があるということを。

タケル そうだった。ということは、あらかじめレバレッジ分の損失を計算して、売るタイミングを考えるべきですね。

ドーシタ師範 そう。下落したらどう対応するか、あらかじめ考えておくことが重要だな。

タケル でも下落相場が続くと損失が大きくなるわけだから、信用取引する人が減って売買も活発にならないですよね。

ドーシタ師範 タケルよ。信用取引は株を「買い」から始めなくても、いいのだ。

タケル ドーシタ師範、謎かけですか?

――[3の巻]へ続く

信用取引ことば解説

◆レバレッジ(ればれっじ)とは

 日本語で言えば「てこの作用」。信用取引では手持ちの資金よりも大きい金額の取引を行うことを指します。

◆制度信用(せいどしんよう)とは

 信用取引には、制度信用取引と一般制度取引の2種類があります。この2つは「取引ができる銘柄や返済期限、金利や規制などのルールをどこが決めているか」で分かれます。このうち、制度信用は証券取引所によってルールが決められていて、これは全ての証券会社に一律に適用されます。一方の一般制度は、各証券会社がそれぞれ、期限などルールを決めている取引です。

信用取引はじめて道場

 この連載では、信用取引をスタートするために必要な準備と、株式の売買一巡するために求められる知識とテクニックを身につけてもらうことを目的にしています。

「信用取引は難しくて、よく分からない」という人にもできるだけやさしく、信用取引のメリットとデメリット、そして手数料などのコスト、さらには特有の言葉遣いの解説をします。現物取引はしているけれど、信用取引はやったことがない人が自分で銘柄を選び、取引一巡するまでをナビゲートします。

 そして、信用取引が力を発揮するのはどんな局面なのか、上手な信用取引の仕方などの技を主人公とともに学び、株式取引のレベルアップをしていきましょう。