コロナ第2波がもたらす影響の構造を知ろう

 世界全体ではまだ第1波が拡大しています。このため、現時点で報じられている新型コロナウイルスの感染“第2波”は、3月から5月ごろに感染が一旦のピーク(第1波)を越えた中国や日本、欧米諸国で、再び感染が拡大することを指しています。

 この第2波が到来した場合、金相場にどのような影響が及ぶのでしょうか。以下のとおり、新型コロナ第2波は、3つの事象を生むと考えられます。

(1)不安心理拡大
(2)さらなる金融緩和期待の増幅
(3)株価 不安定化懸念

図:新型コロナの第2波が生む事象とそれらによる金相場への影響

出所:筆者作成

 コロナ第2波が生む3つの事象は、金相場にそれぞれ、

(1)有事のムードを強める(資金の逃避先としての金需要を増加させる)
(2)代替通貨としての金需要を増加させる
(3)代替資産としての金需要を増加させる

 要因になり得ます。

 そして、第2波が発生してマイナスの影響が及ぶ期間が長くなればなるほど、中央銀行の金保有高が増加し、中国・インドの宝飾需要が減少する可能性が高まります。

 前提として、金相場には、5つの変動要因が層を成していることを認識しておけば、新型コロナ第2波が、金相場に与える影響の構造を理解することができます。

 第2波の影響が長期化した場合、中国・インドの宝飾需要の点は金相場にとって下落要因ですが、それ以外の4つは、いずれも上昇要因です。特に、“中央銀行”の保有は、比較的規模が大きく、かつ長期で保有する傾向があるため、長期的な金相場の下支え要因として作用すると考えられます。

 市場への影響力が大きく、中長期的な価格のトレンドを作る投資家が“クジラ”と例えられることがありますが(豊富な資金量を有する公的な機関投資家を通称“クジラ”といいます)、筆者は中央銀行を、金市場の“クジラ”のような存在だと考えています。