移動平均線からの乖離率で測る「売られ過ぎ」と「買われ過ぎ」

 短期的な買われ過ぎ、売られ過ぎを測るテクニカル指標には、いろいろあります。今日は、もっとも代表的な指標である、「移動平均線からの乖離率」で、日経平均の「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」を見てみましょう。

 以下は、13週移動平均線からの乖離率です。2012年以降、8年半のデータを出しています。

日経平均の週次推移と、13週移動平均線からの乖離率:2012年1月4日~2020年6月15日

注:楽天証券経済研究所が作成

 ご覧いただくと分かる通り、日経平均が13週移動平均線よりも10%以上、上ぶれることはめったにありません。反落局面をはさまずに、一本調子の上昇が続かない限り、13週移動平均線からの上方乖離は10%を超えないからです。

 日経平均の13週移動平均線からの上方乖離率が10%を大きく超えたのは、2012年以降で2回しかありません。アベノミクスが始まった直後の2013年5月17日の+16.1%と、つい先日、2020年6月5日の+16.6%だけです。押し目らしい押し目もなく一本調子の上昇が続いた結果、短期的な過熱感が強まりました。

 どちらも、過熱感が高まった直後に、日経平均は急落に見舞われています。2013年5月には、「バーナンキショック」と言われる急落があり、日経平均は高値から一時20%以上、下げました。そして、今回、同じように、日経平均は急落に見舞われています。

 逆に、日経平均が13週移動平均線よりも10%以上、下にぶれることもめったにありません。テクニカルな反発がなく、一本調子の下落が続かない限り、13週移動平均線からの下方乖離は10%を超えないからです。

 日経平均の13週移動平均線からの下方乖離率が、10%を大きく超えたのは、2012年以降で2回しかありません。1回目は、2016年2月12日の▲17.8%です。チャイナショック・資源安ショックと言われる世界的な景気悪化で、日経平均が急落した時です。2回目が、つい先日、2020年3月19日の▲25.5%でした。新型コロナへの恐怖で、下げが続いた結果、売られ過ぎシグナルが強まりました。

 短期売られ過ぎのシグナルが出た後は、ともに、日経平均は短期的に急反発しています。