コロナ禍で急速に浸透し始めたESGは、長期的視点で銀相場を変える一大要因に

 次のレポート「金銀上昇!その他はふるわず【ジャンル横断・騰落率ランキング】」で書いたとおり、先週、さまざまなジャンルのさまざまな銘柄が下落した中、銀の上昇が目立ちました。また、最近一カ月間では、銀の上昇率が金の上昇率を上回っています。

 足元、銀価格の上昇が目立っていることについて、コロナ禍(コロナか)と関りがあると、筆者は考えています。

 コロナ禍がきっかけで、社会に急速に*ESGという考え方が浸透してきていることにより、今後、銀相場は、一時的な急騰ではなく、長期的でゆっくりとした、上昇トレンドに入る可能性があると、筆者は考えています。

*ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)のこと

 世界中で、在宅勤務が急速に普及したり、自分や周囲の体調を意識するムードが急速に強まったり、医療従事者を称える声を各地で耳にするようになりました。コロナ拡大前に比べれば、社会が大きく変化したことは、誰の目にも明らかです。

 そして、この変化がきっかけで、紙や印鑑を用いた慣例的な作業をなくそう、無駄な残業をなくそう、など、コロナ禍が起きる前から起きていた、ペーパーレス化や働き方改革が、急速に、進み始めました。

 なかなか改善されなかった、紙や残業を是とする古い慣習が、ようやく変わり始めたのです。これは、非常に大きな社会変革です。ある意味、世界全体でほぼ同時に革命が起きたと言ってもよいと思います。

 この革命の根幹にあるのは、Social(社会)から、無駄を取り除いたり、社会に貢献する人、モノ、考え方を是としたりする思想です。

 そして、Socialが重視されるようになると、今度は、そのSocialを取り巻くEnvironment(環境)がクリーンであることが重視され、SocialとEnvironmentが重視されると、それを推進するGovernance(企業統治)が、重視されるようになります。

 もともと、近年、Environment、Social、Governance、の頭文字をならべた“ESG”という考え方は、企業が行う経済活動が、環境、社会、企業統治の各テーマを、良い方向に導こうとしているかを計る、ものさしとして重要視されてきました。

 しばしば耳にする“ESG投資”とは、企業への投資の際、その企業がESGを良い方向に導こうとしているかどうかを、投資をする上での判断基準とする、という考え方です。この考え方では、ESGを重視する企業は、長期的な成長が期待できる企業、ということになります。

 無駄を取り除いたり、社会に貢献する人、モノ、考え方を是としたりする革命をもたらしたコロナ禍は、ESGの重要性を、世界に再確認させた、と言えると思います。実は、“ESG”と、銀は、再生可能エネルギーというテーマで接点があります。