テンバガー達成のセオリーは?

 一つ目のテンバガーは中国化学メーカーの阜豊集団で、こちらは当時の中国株バブルにうまく乗れたことが勝因。そして、次に巡り合ったIT企業・インフォマート株の大成功。「成長、ビジネスモデル、割安」という投資スローガンを確立するに至った。

「インフォマートはウェブ上での請求書発行サービスを展開するIT関連株ですが、購入後に、会社の中期計画で利益率の大幅向上が発表され、株価が上昇しました。それまで二重にかかっていた旧システムと新システムの減価償却費用のうち、旧システムの減価償却が終わるというのが利益率アップの理由でした。EPS(1株当たり利益)の向上、そしてPER倍率上昇という成長株が、さらなる急上昇モードに入る2つの条件を満たして見事、株価が10倍になりました」(すぽさん)

 そして、すぽさんが人生3度目のテンバガーを達成したのはビットコインだと言う。

「次世代通貨として期待されていたビットコインですが、発行される数量がそもそも限定されているという致命的な欠点が、ひょっとしてバブル発生につながるかもと考え、2016年末に購入。この予測が的中し、たった1年で10倍高となりました」とすぽさんが話すように、バブル発生に対する嗅覚の鋭さもテンバガーを狙うには必要な要素のようだ。

 もちろん、尊敬していた評論家が紹介したという理由だけで、中国の冷凍食品会社を買って株価9割減を味わったり、経営者の不祥事やネットでの炎上事件で保有銘柄が暴落したり、何度か手痛い失敗も経験しているすぽさん。

「やはり他人に言われるまま、ではなく、自分自身で考えることが株式投資では一番大切。また経営者が悪事を働きやすいような会計処理のずるさがないかなどは、決算書をよく読めば分かること。いつ起きるか予測不可能ですが、炎上リスクにもその後は注意を払うようになりました」(すぽさん)

 失敗もきっちり教訓に変えることが、投資家として成長するためには必要だということが見えてくる。