主要新興国通貨と株式指数

【新興国】
図3:主要新興国通貨

出所:Bloomberg Finance L.P.

 図4:主要新興国の株式指数

出所:Bloomberg Finance L.P.

 新型コロナウイルスの爆発的感染は欧米から新興国に移りつつあります。医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で、経済対策の発動能力も低い新興国では、社会不安から政治的混乱に陥り、対外債務危機に見まわれるリスクも懸念されます。しかし、逆にその分、新興国通貨は割安度を増しています。債務危機にさらされた新興国は高リスクであり、投資の時機は慎重な上にも慎重に選ぶ必要があります。目下注目しているのは、危機が懸念される新興国の多くで、株式相場が先進国と同等なほどいち早く回復し、国内諸条件の好転への下地を垣間見せていることです。今後、(1)感染の鎮静、(2)世界需要の底堅さ、(3)ジャブジャブに供給されたドルの活発化、の3条件が整うと、新興国は上昇サイクルに復帰する目があると期待しています。

【商品】
図5:主要商品指数

出所:Bloomberg Finance L.P.

 コロナ禍の需要激減で一時急落した商品(コモディティ)相場も、経済再開に合わせて、失地を部分回復する流れにあります。原油はNY先物市場で一日だけマイナス価格に陥るアクシデントで世界を驚かせました。こうした過剰な相場下落もあって、産油国・企業で採算割れが続くとおのずと供給も減ることから、一般投資家の押し目買いが殺到したのもうなずけます。ただし、実体経済がコロナ前の水準に戻るのはかなり先でしょう。商品一般を丸めた見方ですが、半値戻し以上の水準での購入は、反落リスクの大きさに見合わないと考えて慎重です。当面のリスクオン状況で、究極の安全資産である金の価格に調整があるかもしれません。ただし、経済、感染、米中、米選挙、新興国情勢と不確実性は続く公算から、分散投資の一環で金の保有には一理ありとの考えを維持します。
(後編に続く)