どの市場を狙うか

 筆者の投資スタイルはグローバルマクロ。世界の経済と市場をマクロで見て、どこに投資するか、いつ退避するかを、中期の時間軸で追求し続け、長期投資につないでゆきます。各資産市場を投資対象としてどう評価するか、あくまで筆者の投資スタイルの観点から整理します。

【内外債券】
図1:先進国10年国債と米低格付社債利回り

出所:Bloomberg Finance L.P.

 先進国国債は、利回り0%前後で、値下がりリスクが相対的に大きく、投資する理由を見出せません(機関投資家にとって現金保有は職務放棄。わずかなリターンでも債券投資しますが)。コロナ禍で利回りが高まった低格付け債について、政策支援で信用リスク悪化を回避する社債の購入には一理ありますが、リスク資産として比較すれば、情報面と機動性の点で株式を選好します。

【内外株式】
図2:先進国の株式指数

出所:Bloomberg Finance L.P.

  コロナ後は米欧もデフレ色が濃くなり、低金利が続き、中央銀行は極端な金融緩和を継続するでしょう。このマクロ環境は株式支援的です。日本株か海外株かのウェイト付けは、相場の方向がほぼ重なるため分散効果としては考えず、日本より高い成長性を見込める米国など海外株式に比重をかけています。ただし日本株は、過去に米国株に遅行して浮上し、急キャッチアップするサイクル・パターンが観察されたことから、バリュー投資からモメンタム投資へ時間差で狙う妙味があると期待しています。