マザーズ指数は力強い上昇。コロナ関連銘柄物色の影響か、これまでの下げの反動か
最後に、マザーズ指数の動きについても見ていきます(下の図4)。
■(図4)マザーズ指数(日足)の動き(2020年5月22日取引終了時点)
3月安値からのマザーズ指数の上昇は日経平均と比べてかなり力強く、昨年末比でもプラスに転じており、コロナ・ショック以前の株価水準を超えています。
ただし、別の角度から眺めてみると、違った景色が見えてきます。下の図5は、2018年あたまを100としたマザーズ指数と日経平均の指数チャートです。
■(図5)マザーズと日経平均の指数チャート(2018年あたまを100とする)
図5を見ると、マザーズ指数は長期にわたって下落基調をたどっていたことが分かります。コロナ・ショックによる安値時点の水準は、日経平均が約70だったのに対し、マザーズ指数は約45とかなり下がっています。
最近のマザーズ指数は、新興株市場かつ株価が力強く上昇しているということで、米NASDAQと同様に論じられる場面が見受けられます。確かに、マザーズ市場では、ワクチンや治療薬への思惑をはじめ、テレワークやリモート、非接触型社会に資する技術を持つ企業など、新型コロナ関連の銘柄への物色が進んでいますが、米NASDAQのFANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)などに挙げられるような、高収益かつグローバルに活躍する銘柄が存在せず、足元のマザーズ指数の上昇は、これまで大きく下げてきた分の反動が出ているという側面もあります。
直近のマザーズ指数の上昇が日経平均などへのキャッチアップならば、ある程度実現したところで上昇がストップしてしまうことになりますし、米NASDAQがNYダウやS&P500をけん引している状況とは異なることを考慮しておく必要がありそうです。