目先の値動きのレンジは2万1,092~1万9,898円

 足元の株式市場の堅調さは、新型コロナウイルスの感染拡大や米中摩擦への「不安」よりも、経済活動再開の動きやウイルスワクチン開発への「期待」の方が優勢になっている状況が背景にあります。つまり、「不安」と「期待」のシーソーゲームのバランス次第で株価が動き、今後は形勢逆転で不安の方が優勢となることも考えられます。値動きのフォーメーションでも「上昇ウエッジ」が煮詰まりつつあり、そろそろ大きな上放れか下放れが訪れそうな雰囲気も出始めています。

 さらに、5月最終週となる今週は、前月の4月末終値(2万193円)を超えて終えられるかどうかも焦点です。来週からの6月相場は、12日に控えるメジャーSQへの思惑が意識されやすくなるため、月足ベースでプラスを維持できれば心理的に前向きになれます。

 このように、色々と読みにくい状況が重なっているため、今週についても「上方向を目指しながらも膠着(こうちゃく)感が漂う」という見方が基本路線になりそうです。

■(図2)日経平均(日足)のエンベロープ(25日MA基準)(2020年5月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は25日移動平均線を基準にしたエンベロープですが、最近の日経平均はエンベロープの+6%辺りのところまで上昇すると、いったん落ち着く傾向があります。したがって、目先の値動きの範囲はエンベロープの+6%までの範囲となります。先週末時点の株価で見れば2万1,092~1万9,898円のレンジです。

 続いて、週足の状況も確認します。

■(図3)日経平均(週足)の平均足とMACDの動き(2020年5月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は前回のレポートで紹介した週足の日経平均の平均足とMACDの組み合わせです。想定していた通り、上段の平均足の陽線が続く中、下段のMACDとシグナルのクロスが実現する一方で、移動平均線については、26週と52週線の「デッド・クロス」が実現しました。

 MACDではトレンド転換を示しつつも、移動平均線はまだ下方向への意識を保ったままですので、このまま中長期的なチャートの形を改善できるかを探っていくという見方に変わりはなさそうです。