本日の注目通貨

ドル/円:、雇用統計後の動き、先入観を持たずに

 本日は4月の米雇用統計の発表があります。チャートを見ると上値が切り下がり、徐々に円高に向かって進んでいるように見えます。今週のドル/円は何度か105円台に入りましたが、すぐに106円台に戻して、今日は雇用統計の発表待ちといったところです。今回の雇用統計の数字は、これまでとは次元が違うので、マーケットの反応を予想するのが難しい(これほど悪いのかとベアになるのか、悪いけれどこの程度なら許容範囲とブルになるのか)。

 雇用統計に関連して、米労働省は7日、先週1週間の失業保険の申請件数が316万件にのぼったと発表。およそ1月半の間に申請数は4,000万件に迫る勢い。また4月の米国企業の人員削減数は1,576.9%増(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)。

 失業はほぼすべての業種に及び、大企業ではボーイング社が10%の人員カットを計画。航空機産業が持つ広いすそ野産業(完成品を製造する企業に必要な部品や資材を供給する業者)への波及が懸念されています。

 ギグエコノミーにも影響が出ています。民泊仲介サイト世界大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)は、全世界の約7,500人の従業員のうち25%の人員を削減すると発表しましたが、宿泊客がゼロになってAirbnbのホストが破産するというケースもでています。

 それでもまだ、今夜の失業率は実際より低くなっているというのです。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は「本当の失業率は23~24%と考えている」、「職を探していない人が多いため、明日の雇用統計はダメージを過小評価する」と述べています。

 見かけの数字が低くなっているのは、米政府やFRB(米連邦準備制度理事会)の経済対策のおかげです。しかし、この手厚い対策が逆に経済再起動を遅らせるという懸念もでています。詳しくは、「米雇用市場が崩壊! 新型コロナでアメリカ人の6人に1人が仕事を失う。しかも最悪はまだこれから…4月米雇用統計 詳細レポート」をお読みください。

 
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成