連続増配実施銘柄には現状で安心感が強まりやすい
2020年3月期の決算発表が本格化しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響が不透明な中、ここまでのところ、新年度の業績見通しや配当予想を非開示とする企業が例年になく多くなっている印象があります。
大半の企業が厳しい環境に置かれている状況にあり、2020年3月期と比べて、2021年3月期は業績が悪化し、それに伴って減配を余儀なくされる銘柄が多くなると考えられます。こうした事態が鮮明化するのは4-6月期の決算発表前後になるとみられ、当面は配当に関して不透明感が強まる状況でしょう。
このような中、減配の可能性が相対的に低いとみられる銘柄として、連続増配実施企業が挙げられます。連続増配を行っている銘柄は、経営者の増配に対する拘りが強いとみられる他、経済環境の変化に対応して業績を安定的に伸ばしているということもできるでしょう。
平均利回り5.6%、18期以上連続増配銘柄
下表は、これまで18期以上連続で増配を行っている銘柄群になります。ちなみに、2020年3月期は、配当が現在の会社計画通りに実施されることを前提にしています。
直近2~3年を振り返っても、15期以上増配を行っていた銘柄で連続増配が途切れた銘柄は極めて少ない状況です。2021年3月期は全般的に企業収益の悪化が見込まれ、増配アナウンスにはポジティブインパクトが強まりやすいと考えられます。
下表の銘柄は総じてディフェンシブ性が強いものが多くなっており、財務体質も良好とみられることから、増配傾向維持の可能性は十分と捉えられるものが多い印象です。
18期以上連続増配を行っている銘柄(4月30日時点)
コード | 銘柄名 | 配当 利回り |
4月末 終値 |
時価 総額 |
連続 増配 期間 |
決算期 | 実績 配当金 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4452 | 花王 | 1.73 | 8,316 | 40,083 | 30期 | 2019.12 | 130.0 |
7466 | SPK | 9.51 | 1,315 | 137 | 22期 | 2020.3 | 72.0 |
4967 | 小林製薬 | 1.11 | 9,940 | 8,155 | 21期 | 2019.12 | 73.0 |
8593 | 三菱UFJリース | 11.56 | 519 | 4,649 | 21期 | 2020.3 | 25.0 |
4732 | USS | 4.09 | 1,710 | 5,356 | 20期 | 2020.3 | 55.4 |
配当利回り平均(%) | 5.60 | ||||||
注:連続増配期間には20.3期(予)含む、決算期が20.3期の実績配当金は予想ベース 注:配当利回りは実績配当金(20.3期は予想配当金)ベース |
※配当利回りは会社予想、単位は%。時価総額の単位は億円。4月末終値、実績配当金の単位は円。