原油安とインバウンド回復が航空株再浮上のカギか
こうしたなか、日米の航空株は「政府支援」や「金融機関からの融資枠の設定」を手掛かりにして底値を探る動きをみせています(図表2を参照)。
「今後1年」程度の時間軸(視野)で考えると、「アフター・コロナ」(コロナ危機後)の航空需要は、(1)感染拡大の収束、(2)治療薬(ワクチン)の開発、(3)移動制限緩和の行方に左右されることになります。
換言すると、上記3条件が揃えば景況感の回復とともに航空需要も徐々に回復すると思われます。特に、ビフォア・コロナ(コロナ危機前)の航空需要を思い起こすと、インバウンド(訪日外国人観光客数)の増勢が国内の主力航空株(ANAとJAL)の業績堅調を支えていました。
記憶に新しいところでは、ラグビーW杯(日本大会)の成功で多くの外国人が日本観光を楽しんで帰国しました。来年(2021年)は、今夏より延期された東京五輪(オリンピック・パラリンピック)が開催される予定です。
感染動向の行方に油断はできませんが、上記した(1)(2)(3)が揃ってくるなら、インバウンド需要だけでなく、国内旅行・内外出張需要も徐々に回復し搭乗者とフライト稼働率の向上が見込めると思います。加えて、最近の原油相場暴落は、燃料価格下落を通じた「運輸コスト低減」で航空株の業績底入れに寄与すると考えられます。
航空需要が近い将来に「V字回復」することは期待しにくい状況です。ただ、日本の空運業を支える両翼(ANAとJAL)が最悪期を乗り越え、業績見通しと株価が再び上向くことに希望を抱いています。「麦わら帽子は冬に買え」の格言に倣い、「コロナ危機で低空飛行を続ける航空株を時間分散しながら拾ってみる」のも検討に値すると考えています。
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