日米市場で低迷を続ける航空株に希望はあるか
米国市場と日本市場の株価平均が底入れを示すなか、航空株はコロナ危機に対応する出入国制限、移動制限の影響で業績見通しが急悪化しています。図表2は、日米の航空(空運)株価指数と市場平均の年初来推移を示したものです。世界的感染拡大を嫌気して株式相場が急落し始めた2月下旬以降、航空株が劣勢を鮮明にしてきた状況がわかります。
航空業界を取り巻く環境は激変し、個人・企業が旅行や出張を取りやめ、搭乗者の急減で航空便はキャンセルが相次ぎました。欧米では一部の大手航空株が資金繰り難に陥り、政府が資金的な救済に乗り出す事態となっています。
日本ではANAホールディングスが28日に発表した2020年3月期連結決算で純利益が前期比75.0%減益となり、来年3月期の業績予想は「感染拡大による影響を見極めることができない」として未定としました。
同社は、手元の資金繰り安定を目的に、金融機関からの融資枠設定で約6,000億円の資金を確保したことを表明。30日に決算発表(予定)の日本航空(JAL)も22日、2020年3月期の通期業績予想を大幅に下方修正しました。
同社も金融機関に約3,000億円規模の融資を要請していると報道されました(25日)。両社は国際線、国内線とも大幅な減便を余儀なくされており、急速な業績悪化を受け手元資金を厚くする手立てをとっています。
図表2:コロナ危機の影響で日米の航空株は低空飛行続く
このように、航空株は業績悪化や資金繰り困窮を相当程度織り込んで下落しました。市場が総弱気になっている航空株は、先行き不透明感で低迷している業界の典型例でしょう。
そこで「逆張り」的な視点に立って航空株を投資対象として検討してみます。「逆張り」とは、トレンド(傾向)に逆らって利益を狙う投資戦略を意味します。株価がすでに下落し、底値圏にある銘柄の買い時を探る考え方です。
「買いタイミング」にも「売りタイミング」にも絶対的なモノサシはありません。「魚の頭と尾はくれてやれ」との言葉に倣い、将来の経営環境改善を見込んで「このあたりが買い時」と判断して投資することが本質となります。