重要イベントが目白押しで相場の反応は?

 ドル/円はこの10日ほど、ほとんど107円台で動いている状況です。

 先週までは経済データよりも医療データが優先されていたため、相当悪い経済指標が出ても、あるいは予想よりもさらに悪化した経済指標が発表されても反応が鈍い相場が続いていました。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大のペース鈍化によって、欧州や米国でロックダウンの一部解除の動きが出てきたことから、経済活動再開への関心が高まってきました。そのため、経済指標にも反応する相場地合いが少し出てくるかもしれません。

 特に今週は、日米欧の中央銀行の金融委員会や、欧米のGDP(国内総生産)発表など重要イベントが目白押しのため、相場が動くかもしれません。

今週の重要イベント

日程  イベント
4月27日 日銀金融政策決定会合
4月28~29日 FOMC(米連邦公開市場委員会)
4月29日  米国1-3月期 GDP速報値
4月30日 ECB(欧州中央銀行)理事会
4月30日 ユーロ圏1-3月期GDP速報値
5月8日 米国4月雇用統計

 4月27日、1日に短縮された日銀金融政策決定会合が開催され、事前に報道されていた通り、国債の買い入れ上限を設けず積極的に買い入れることや、社債・CP(コマーシャル・ペーパー)の買入額を7.4兆円から20兆円に増やし、企業の資金繰り支援を決定しました。

 しかし、国債買い入れ「無制限」は大判振る舞いに見えますが、既に国債の買い増しの余地が限定的であるため、国債の買入額は年間10兆~20兆円程度にとどまっており、これまでの「80兆円メド」は形骸化している状況となっています。従って今後、コロナ対策によって増発される国債を踏まえても、金融市場に与える影響は乏しいと予想されます。

 そして、ドル/円の動きがこのことを物語っていました。

 今回の日銀の決定が事前報道された時に、一時的に40銭ほど円安に動きましたが、その日のうちに元の水準に戻りました。そして27日の日銀金融政策決定会合開催の日は、政策変更への期待から発表前に20銭程度、円安に動きましたが、やはり、既に予想されていた変更であったため、発表後その円安は帳消しとなりました。107円台の域を出なかったため、28~29日のFOMCや30日のECB理事会まで様子見相場となるかもしれません。

 しかし、FRBやECBがさらなる緩和や緩和姿勢を強調すれば、各中央銀行の資産規模や拡大ペースの違いから円高に反応する可能性もあるため警戒しておく必要がありそうです。

 FRBは現在6兆ドルまで資産を拡大していますが、さらに10兆ドルまで拡大するという見方もあります。

 また、ECBも同じような動きをする可能性があります。ECBのラガルド総裁は、コロナ対策へのEU(欧州連合)の対応の遅さを批判していることから、今回のECB理事会では、EUの手前、さらなる緩和姿勢を示すかもしれないため特に注目する必要があります。