決算発表延期により株価にはどのような影響があるのか?

 決算発表の延期は、株価にどのような影響があるのでしょうか? 筆者の私見ですが、「株価のトレンドが長続きするのではないか」と考えています。

 良くも悪くも、決算発表というのは一区切りになりやすいタイミングです。例えば、業績悪化懸念により株価が大きく下落していた銘柄が、決算発表により、大方の予想通りの悪い数字を発表したところ、悪材料出尽くしで逆に反転上昇に転じることはよくあります。

 しかし、決算発表が先送りにされると「きっと業績が良さそうだなあ」と思っても、本当に業績が良いのか答え合わせが決算発表までできません。足元で株価上昇が続いていた場合、その動きが決算発表まで続く可能性が高いのではないかと思います。

 逆もしかりで、新型コロナウイルスの影響をもろに受けて株価が大きく値下がりしている銘柄は、区切りとなる決算発表の時期まで、軟調な動きが続くものが多いのではないでしょうか。

決算発表にどのように対応すべきか

 こうした状況を踏まえ、どのように対応していけばよいでしょうか? 筆者は、銘柄ごとの株価のトレンドに従っておくのが無難だと思います。

 この環境下であっても、好業績で上場来高値を更新している銘柄もありますし、基本は業績が良い銘柄を選択することに変わりありません。しかし、新型コロナウイルスの影響が業績にどの程度のインパクトがあるかどうかは個人投資家にはなかなか判断は難しいのも現実です。したがって、例えば好業績であっても株価が下落しているものは見送るのが賢明です。

 その上で、もし決算発表において好業績が継続する可能性が高いことが確認でき、かつ株価も上昇トレンドに転じるのであれば、それを見てから買っても遅くないと思います。

 また、新型コロナウイルスの影響がプラスに働くと期待される銘柄(いわゆる「テーマ株」)は、期待感が先行しており、足元の業績はそれほどでもないことが多いです。したがって、ファンダメンタルズよりも株価のトレンドに従って売買する方が安心です。

 すでに保有している銘柄については、決算発表がいつになるかをあらかじめチェックしておきましょう。そして、決算発表をきっかけに株価が急落するリスクが心配だ、という方であれば、決算発表前に保有株を売却しておくことも一考です。

 今は平時のマーケットではありません。そのため個人投資家が業績を予想することも困難ですし、企業が発表する業績予想の信頼性も低下しています。業績予想を信じ、株価が値下がりしている中を買い向かうことに対するリスクはいつも以上に高いということをぜひ認識してください。