前日(9月26日)の市場概況

ドル/円:イエレン議長は利上げに前向き。ドル/円の反応は限定的

 FRB(米連邦準備理事会)が12月に利上げをするかどうかを巡って、マーケットでは、NY時間のイエレンFRB議長の発言に大きな注目が集まっていました。イエレン議長はこの日の講演で、「インフレが2%に達するまで金利を据え置くのは賢明ではない」との見解を示しました。

 これを利上げのOKサインとマーケットは受け止め、ドル/円は112.46円まで上昇しました。(チャート1)この日のドル/円は、東京時間に111.49円まで下げて安値をつけたあと、しばらく111円台後半で小動き。イエレン議長の発言で買われたものの、大幅上昇とはいかず、112.50円に乗せることができないまま、終値は112.219円(前日比+0.503円)でした。

 

ユーロ:大きく下げる。選挙と地政学リスクが理由

 ユーロは大幅下落。今月の安値を更新して、8月23日以来となる1.1757ドルまで売られました。イエレン議長の発言がドル買いを強め、ユーロ/ドルは対ドルで売られました。(チャート2)ドイツでは先週末に選挙が行われ、メルケル首相率いるCDU(キリスト教民主)・CSU(社会同盟)が、順当に第1党を守りました。

 しかし、難民受け入れに反対する右翼政党AfD(ドイツのための選択肢)も一定の支持を得て、初めて国政の場で議席を確保。今後の政権運営が難しくなるとの見方も強く、メルケル首相の勝利にもかかわらず、選挙後の高値は月曜朝の1.1936ドルにとどまりました。

 もっとも、ECB(欧州中央銀行)会合後に1.20ドル台に戻してからは伸び悩む状態が続いていて、IMM(シカゴ・マーカンタイル取引所にある国際通貨部門)ではすでに買い持ちポジションを減らす動きが目立っていました。(IMMポジション分析)。

 また、ユーロ下落の要因のひとつに地政学リスクもあります。マーケットがドル/円よりもユーロ/円を狙って売ったことが、ユーロ/ドルの下落をさらに強めました。ユーロ/円は、131.74円まで下げて、9月15日以来の水準までユーロ安/円高が進んでいます。(チャート3)

注目イベント:米耐久財受注、RBNZ政策金利 

 今夜は米国の8月耐久財受注が発表されます。もともと変動の大きいデータではありますが、先月の予想外の落込み・マイナスからの反発が期待されています。強い数字は、米国の成長トレンドを示す頼もしい証拠となるでしょう。またRBNZ(ニュージーランド準備銀行)は、明日(28日)に会合を開き、政策金利を現行の1.75%に据え置く予想。選挙後の政治情勢が不透明なことや、ウィーラーRBNZ総裁が5年の任期を終えて今月退任することで、金融政策の変更はないと見られています。

 週末行われたNZの総選挙では、与党の国民党は勝利したものの、単独過半数は獲得できずハングパーラメント(与党、野党のどちらも単独で過半数の議席を獲得していない状態)の状態。RBNZが弱気になればさらにNZ売りが強まるリスクがあります。