為替のこれからの動き、原油価格は?

 ドル/円の動きはどうでしょうか。

 3月期末の111円台から期初にかけて107円台に下落したドル/円は、4月2日、トランプ米大統領が「サウジアラビアとロシアが原油生産を1,000万バレル削減に踏み切ることに期待する」と発言したことから原油が急伸。1日で25%上昇(WTI[ウェスト・テキサス・インターミディエイト]ベースで20.31ドル→25.32ドル)、ドル/円は108円台に上昇しました。そして6日の新型コロナウイルス感染拡大のスローダウン報道で、株上昇とともにドル/円も109円台に上昇しました。

 教科書的にはFRB(米連邦準備制度理事会)が最大の金融緩和をしているため、ドル安傾向が予想されるのですが、依然ドル需要が強く、地合いはドル高傾向が続いています。株安、通貨安、業績悪化に伴う債務返済のドル需要や、新興国の通貨安、株安に伴うドル需要がまだまだ旺盛のようです。また、ブラジル大統領の感染を無視した発言や行動を見ていると、新興国の通貨安・株安は新たな火種になるかもしれません。

 このようなドル高基調の中でも、新型コロナウイルス感染拡大のスピードや原油価格によって、株やドル/円は動いています。感染拡大のスピードがスローダウンすると株は上昇し、円安に動き、感染拡大が増えると株安、円高に動いています。7日のNYダウは700ドル以上上昇していましたが、「一日の死者数が過去最多」と報道されると上昇分を全て吐き出し、26ドル安で終わりました。ただ、前日の1,627ドルの上昇分はほぼキープしたようです。

 欧州を中心に感染拡大のピーク感が出てきましたが、まだ油断はできません。イタリアは、感染増加が鈍化したと報道された翌日には、人々が一斉に街に繰り出したとのことです。また、オーストリアは、14日から制限措置の一部解除を発表しました。時期尚早との批判が出ていますが、楽観的になり気が緩むと第2波が襲ってくるかもしれません。