今週の見通し

 先述のとおり、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大をきっかけとした“総悲観”のムードは、まだ解消していないと考えられます。現金を手元に引く目的のドル買いと資金の逃避を目的とした金買い、そして悲観的なムードがきっかけで主要株価指数の売りがみられるためです。

 ドル、金、主要株価指数、3つの動向それぞれが、先週と逆の方向に進み始めてはじめて、本格的に総悲観が一巡したと言えるのかもしれません。

 その意味では、トランプ米大統領が先週、新型コロナウイルスの感染拡大により“これから厳しい2週間になる”と発言したことを考えれば、今週も、先週と同様、悲観的なムードが抜けない週になる可能性があります。

 以前の「NYダウをはじめ、主要23銘柄、全面安!」で書いたように、悲観的なムードが強くなれば全面安になる場合もあれば、先週のように悲観的なムードが漂う程度で、横ばいで済む場合もあるため、悲観的なムードといっても、程度に差があることに留意が必要です。

 悲観的なムードが強まるか弱まるかを占う意味で、今週公表される、経済統計に注目です。主要国で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大がはじまった2月や、パンデミック化した3月の、経済動向に関わる経済指標が公表されます。

 4月6日(月)に、ドイツの2月の製造業新規受注、英国の3月の建設業購買担当者景気指数(PMI)、7日(火)に、日本の2月の景気先行指数(CI)、ドイツの2月の鉱工業生産、フランスの2月の貿易収支、8日(水)に、日本の2月の国際収支・経常収支、2月の機械受注、米国のMBA住宅ローン申請指数、9日(木)に、英国の2月の鉱工業生産指数と貿易収支、10日(金)に、米国の3月の月次財政収支などが公表されます。

 このような、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と関わりが深い2月と3月の各国の経済動向に関わる経済指標の良し悪しは、悲観か楽観か、直接的にムードを変える要因になります。

 加えて今週は、4月8日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨の公表、9日(木)の日銀総裁の発言なども予定されており、主要国の金融当局が、足元の新型コロナウイルスを取り巻く環境をどのようにとらえ、今後どのようになると考えているのかが示されます。これらの点も、ムードに強く影響する可能性があります。

 強い総悲観に逆戻りして全面安になるのか、あるいは先週のように、悲観的でありつつも横ばいになるのか、今週の経済指標や当局から発信される情報が、それらを占うヒントになると考えられます。

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