トラック野郎にとってのハーレー
今回の出張で最後に訪問したのが、北米でNo1シェアを持つトラックメーカー、Paccar(PCAR)です。事前の調査でPaccarが製造するトラックは競合他社のトラックよりも高い値段で取引されていることが分かっていました。トラックというのは技術革新もなく、あまり差別化の要素がない財に思えます。いったいどんな秘密が隠されているのか、この旅で解き明かしたい謎の一つでした。
面談を通じて分かったのが、当社のトラックが、ある地点から別の地点まで物を運ぶという機能だけでなく、より多様な価値を提供しているという事実です。西海岸から東海岸まで、時に一週間で数千キロを走る米国のトラックドライバーにとって、トラックは「第二の家」とも言うべきものです。彼らは、耐久性や操作性といった車としての機能だけでなく、キャブ(居住部)の快適さや見た目のCoolさなどをトラックに求めます。
当社は、トラックドライバーたちの心を掴むようなデザイン、内装に徹底的にこだわることに加え、彼らの細かな要求に応えるための多様なカスタマイズオプションを提供することで、高いブランドロイヤリティを得てきました。
当社が持つ二つのブランドは、「トラック界のハーレーダビッドソン」として、今日もトラックドライバーたちを魅了し続けているのです。
さて、本稿を執筆している3月12日時点で、新型コロナウイルスの感染は世界中に拡大しています。WHO(世界保健機関)がパンデミック宣言を出し、人や物の動きが制限される中で、世界経済への影響を懸念して、株式相場は大きく下落しています。
私たちが米国を訪れた2月中旬の時点では、まだ感染は東アジアの一部の国に限られていましたが、米国でもコロナウイルスを気にしている人は多く、握手をやんわりと拒否されることもありました。一方で、既に米国で猛威を奮い、1万人以上の死者を出すインフルエンザを話題にする人は誰もいませんでした。
今回のコロナウイルスによる感染症の致死率が決して突出して高いわけではなく、軽症や無症状で回復する人も多いということが分かってきています。人々がこの行き過ぎた悲観を脱し、平穏な日常を取り戻せることを願っています。
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