一部の上級者もやられた「罠」

再掲:日経平均株価 日足チャート:2019年12月17日~2020年3月18日

 そして、その後は上級者の一部も大きく失敗することとなります。

 まず大きく下落した(3)3月2日。前営業日の2月28日時点で、各種テクニカル指標から見て9割方は下げ止まる、という水準でした。その状況から、3月2日の朝方安く寄り付いたところを、彼らは積極果敢に買い向かったのです。

 その結果、確かに2日の朝方が最安値でしたから非常に良いところで買えた…と思いきや、翌3日の寄り付きですぐ頭打ちとなり、株価は明確な反発をしませんでした。

 そうこうしているうちに、6日には2日の安値を割り込み、9日の株価は急落。このとき、信用評価損益率や日経平均株価の25日移動平均線からのマイナスかい離率、25日騰落レシオなどから、「10年に一度レベルの下げでもさすがに下げ止まる水準」と彼らは判断しました。

 そこで翌10日、彼らは最後の勝負をかけ、全力で買い向かいました。株価チャートの(4)の位置です。しかし株価は10日に確かに反発したもののその力は弱く、12日にはあっさり安値割れ、そして13日の歴史的な急落につながっていきました。

 結局は、今回の株価下落は、9割方下げ止まる水準で止まらず、10年に一度レベルの下落で下げ止まる水準で止まらず、リーマン・ショック級の下落になったわけです。

 もちろん、これを事前に知ることはできません。知ることができないからこそ、このように大きな失敗につながる行動をしてしまった個人投資家が数多くいたということです。