世界同時株安の嵐が止まりません。先週1週間で日経平均株価は3,000円を超す値下がりとなり、毎日1,000円幅で上下する異常事態です。日経平均株価はこの下落で7,000円を超える、30%以上の値下がりとなりました。

 でも、いつまでも嘆いていても仕方ありません。これからを見据え、失敗を繰り返さないために過去を振り返って自らの課題を見つけていきましょう。

自らの過去の行動を振り返ることはとても重要

 2008年のリーマン・ショック以来の、正に阿鼻(あび)叫喚状態。個別銘柄に至っては、50%以上の下落を見せたものもあります。

 でも、過去は戻りません。株価の戻りがどうなるかまだ分かりませんが、これからどうするかを考えておくことが今とても重要です。具体的には、自分が株価下落局面で、どのような行動をして、その結果どうなったのか、まず振り返っておく必要があります。失敗の原因を自分自身で明確にすることで、同じことを繰り返さないようになります。

初級者もそうだが中級者が大きくやられた印象

 筆者は個人投資家として、株式投資に関する情報発信を積極的に行っているので、個人投資家の動向に関心があります。

 そこから分かったことは、2012年末以降の長期上昇相場、いわゆるアベノミクス相場がスタートしてから株式投資を始めた方で、かつかなりの運用成績を残している人たちが犯したつまずきです。投資レベルでいうと中級者になります。

 彼らの特徴は、株価が値下がりしたときに買い向かう「逆張り」をしていました。上昇相場では、一時的な値下がりのタイミングで株を買えば、安く買え、その後の株価上昇で大きな利益につながります。これが逆張りです。

 では、過去の彼らの行動を見ていきましょう。2020年の初め、いきなり株価が大きく下落したときがありました。日経平均株価のチャートの(1)の箇所です。

 このとき、彼らは「絶好の買い時」と捉え、実際に逆張りで買い向かいました。

日経平均株価 日足チャート:2019年12月17日~2020年3月18日

 そして、今年1月下旬に日本国内でも新型コロナウイルスの感染者が確認されるなど、影響拡大が懸念される中、過去のSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の事例を持ち出し、「今回の新型コロナウイルスの影響もそれほど大きくならない。だとすればここは絶好の買い場だ!」として、2月3日の(2)の時期にまた逆張りで買い向かったのです。

 ところが、(1)や(2)で買っても一向に下げ止まらず、結局はその時買った株が多額の含み損を抱えた塩漬け株となり、みな苦しんでいるというのが現状です。

一部の上級者もやられた「罠」

再掲:日経平均株価 日足チャート:2019年12月17日~2020年3月18日

 そして、その後は上級者の一部も大きく失敗することとなります。

 まず大きく下落した(3)3月2日。前営業日の2月28日時点で、各種テクニカル指標から見て9割方は下げ止まる、という水準でした。その状況から、3月2日の朝方安く寄り付いたところを、彼らは積極果敢に買い向かったのです。

 その結果、確かに2日の朝方が最安値でしたから非常に良いところで買えた…と思いきや、翌3日の寄り付きですぐ頭打ちとなり、株価は明確な反発をしませんでした。

 そうこうしているうちに、6日には2日の安値を割り込み、9日の株価は急落。このとき、信用評価損益率や日経平均株価の25日移動平均線からのマイナスかい離率、25日騰落レシオなどから、「10年に一度レベルの下げでもさすがに下げ止まる水準」と彼らは判断しました。

 そこで翌10日、彼らは最後の勝負をかけ、全力で買い向かいました。株価チャートの(4)の位置です。しかし株価は10日に確かに反発したもののその力は弱く、12日にはあっさり安値割れ、そして13日の歴史的な急落につながっていきました。

 結局は、今回の株価下落は、9割方下げ止まる水準で止まらず、10年に一度レベルの下落で下げ止まる水準で止まらず、リーマン・ショック級の下落になったわけです。

 もちろん、これを事前に知ることはできません。知ることができないからこそ、このように大きな失敗につながる行動をしてしまった個人投資家が数多くいたということです。

無傷の筆者の対応策

 筆者は今回の下落をほぼ無傷で乗り越えることができています。

 筆者はいつもどおり、保有株が25日移動平均線を割り込んだところで売却しました。日経平均株価と個別銘柄の動きは一致しないので完全にはリンクしませんが、2月17日にはかなりの保有株を売却しています。

「公認会計士足立武志ブログ」にて毎営業日掲載している「ADA指数」(投資可能資金のうちどれくらいの割合で実際に株を保有しているか)の、2月17日前後の推移は下記のとおりです。参考:公認会計士足立武志ブログ

・2月12日 51.3%
・2月13日 49.6%
・2月14日 31.8%
・2月17日 6.9%
・2月18日 5.5%

 日経平均のチャートでいえば、25日移動平均線を割り込み、前述の(2)の安値をも割り込んだ2月25日の★印の箇所ではなんとしても売却しなければいけません。直近安値割れは、さらなる下落を示唆することがとても多いからです。

 そして、25日移動平均線を割り込んだ後は、再度25日移動平均線を超えるまで買わないようにするのです。

再掲 日経平均株価 日足チャート:2019年12月17日~2020年3月18日

 こうしてみると、(1)~(4)のタイミングで筆者は、今回失敗した個人投資家が取った行動とは全く異なることをしています。

 実は今回の株価急落で個人投資家がとった行動パターンは大きく分けると4つあります。次回はその4つのパターンごとに、それが正しかったのか? 正しくなかったとすれば何がよくなかったのか? を解析していきたいと思います。