「2万1,000円辺りで底打ち」シナリオがお預けに

 3月相場入りとなった先週の国内株市場ですが、週末6日(金)の日経平均終値は2万749円でした。前週末終値の2万1,142円からは393円安となりましたが、前日5日(木)時点では187円高の2万1,329円だったため、結果的に6日(金)の下落によって週足ベースの続落(4週連続)につながった格好です。

 先週の株式市場も新型コロナウイルスをめぐる動向に左右されやすく、先行きの不透明感が強い状況が続きましたが、さらに今週は週末の13日(金)にいわゆる「メジャーSQ」が控えているため、値動きがますます不安定になってしまうことを想定しておく必要があります。

 まずはいつもの通り、足元の状況から確認します。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年3月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均の値動きを振り返ってみますと、2万1,000円台をはさんだ攻防が続いていました。実際に、ローソク足が陽線をつけた2日(月)と4日(水)は、この2万1,000円の水準を下から上に抜ける形になっています。

 ところが、週末の6日(金)に下落したことで、「ひとまず2万1,000円辺りで底打ち」というシナリオがお預けとなってしまいました。ちなみに、日経平均が終値ベースで2万1,000円台を下回るのは2019年9月4日以来です。

 今週の相場を考える上でカギとなるのは、この「2万1,000円台割れをどう捉えるのか?」になります。2万1,000円台の節目を割れたことで、「新たな局面入りとなってさらに下落していく」のか、それとも「下げ過ぎのため、目先は反発していく」のかです。

 というのも、いわゆる「PBR(株価純資産倍率)1倍」とされるのがちょうど2万1,000円ぐらいとされていたからです。PBRは株価をBPS(一株あたり純資産)で割ったもので計算されます。先週末6日(金)時点の日経平均採用銘柄のPBRは0.99倍でした(加重平均で計算した場合)。

 一般的に、相場が上昇している時にはPER(株価収益率)が注目され、下落している時にはPBRが注目される傾向があります。株価が上値を追っていく局面では株価を企業の事業価値(稼ぐチカラ)で計算したPERを参考に、「まだ買える」というような見方をしますが、株価が下落している局面では企業の資産価値で計算したPBRを参考に、「そろそろ割安か」という見方をするからです。

 確かに、企業の資産価値と株価を比べれば、現在の株価水準はそろそろ底打ちしてもおかしくはありませんが、先週末の先物取引市場が大阪取引所で2万320円、CME(シカゴ)が2万405円と一段安になっていることや、すでに株価が200日移動平均線からかなり下放れてしまっていること、為替市場でも円高が進行していることなどを踏まえると、株価は下振れの方に意識が傾きやすいと判断した方が良さそうです。