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『法人企業統計』は、企業活動の実態を把握する目的で実施されている統計調査で、財務省から3カ月に1度発表されます。2019年10-12月期の『法人企業統計』によると、全産業(金融・保険業除く)の設備投資は前年同期比▲3.5%と、13四半期ぶりのマイナスとなりました。内訳をみると、製造業が同▲9.0%、非製造業も同▲0.1%となり、これまで堅調だった非製造業の設備投資がマイナスに転じました。

【ポイント1】設備投資は前年同期比▲3.5%

GDP改定値は下方修正の見込み

 3月2日に発表された2019年10-12月期の『法人企業統計』によると、全産業(金融・保険業除く)の設備投資は前年同期比▲3.5%と、13四半期ぶりのマイナスとなりました。米中貿易摩擦や台風被害などの影響を受けたとみられます。内訳をみると、製造業が同▲9.0%と、7-9月期の同+6.4%からマイナスに大きく落ち込み、非製造業も同▲0.1%と前期の同+7.6%からマイナスに転換しました。

 GDP改定値を算出する基礎となり、注目度の高い「ソフトウエア除く全産業」の設備投資の前年同期比は▲5.0%と、7-9月期の同+7.7%からマイナスに転じました。3月9日に公表される実質GDP改定値は、1次速報の前期比年率▲6.3%から同▲6%台後半に下方修正されるとみられます。

【ポイント2】売上高は2期連続減少

経常利益は3期連続減少

 全産業(金融・保険業除く)の売上高は前年同期比▲6.4%と、前期(同▲2.6%)から2期連続で減収となりました。消費増税、外需の不冴え、大型台風到来などが響いたとみられます。

 経常利益は同▲4.6%と、3期連続で減少しました。製造業は同▲15.0%と6期連続の減少でした。一方、非製造業は同+1.1%と、前期の同+0.5%からわずかながら増益率が拡大しました。

【今後の展開】主要国の政策対応でリスク資産の下落に歯止めがかかろう

 国内景気は10-12月期の減速に加え、足元では新型肺炎の影響で経済活動が縮小しており、極めて厳しい状況にあります。ただし、新型肺炎の感染拡大で世界的にリスク資産が急落したことを受けて、主要国が協調して対応する姿勢を見せています。FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)など米欧主要中銀は、協調的な金融緩和に踏み切る検討に入りました。主要7カ国(G7)の財務相・中銀総裁は、3日にも緊急の電話会議を開いて対応策を協議します。主要国が協調して政策対応に動き出したことで、パニック的な売りを伴って急落していたリスク資産が一息つける状況になりつつあるとみられます。