結果が悪ければ、FRBは再利下げか

 それなのに、FOMC(米連邦公開市場委員会)は3月3日(火曜日)に緊急会合を開き、0.5パーセントの利下げを全会一致で決定、政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標は1.00~1.25%に下がりました。FOMCの緊急利下げは2008年10月以降で初めて。年初に1.9%だった10年物米国債利回りも、ついに1.00%を下回る過去最低水準まで低下しています。

 今回利下げした理由を聞かれたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「見通しリスクが大きく変わった」からだと述べています。しかし、先に述べたように経済指標にあらわれる米国経済に、なんら問題はないのです。

 しかし、これから発表される経済指標に、新型コロナウイルス感染による需要ショックが強く反映されているのなら状況は違ってきます。その意味でも今回の雇用統計は注目。結果が市場予想から大きくかい離することはないと考えていますが、仮に予想をひどく下回った場合、FRBに対して3月中の再利下げ要求の声が一段と高くなるでしょう。