過去3カ月の推移と今回の予想値
前月のレビュー
先月発表された1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+22.5万人、失業率はわずかに上がって3.6%でした。平均労働賃金は前月比+0.2%、前年比+3.1%。
非農業部門雇用者数は事前予想(+16.0万人)よりさらに上昇、3カ月平均は20.9万人まで上がっています。失業率は0.1パーセント上昇(悪化)しましたが、これはむしろ働き手が増えていることを示す前向きなサインという解釈に落ち着いています。
2月雇用統計の予想
BLS(米労働省労働統計局)が今週3月6日(金)に発表する2月の雇用統計は、市場予想によると、失業率は3.5%に下落(改善)、非農業部門雇用者数は17.5万人の増加。平均労働賃金は、前月比+0.3%、前年比+3.0%の予想となっています。
市場予想を見る限り、米国の労働市場は相変わらず強い。控えめにいっても堅調であるといえます。強いのは雇用市場に限ったことではなく、米国の10-12月期の経済成長率は+2.1%(欧州は+0.9%、日本は▲6.3%)。アメリカ経済はヘルシーなのです。
結果が悪ければ、FRBは再利下げか
それなのに、FOMC(米連邦公開市場委員会)は3月3日(火曜日)に緊急会合を開き、0.5パーセントの利下げを全会一致で決定、政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標は1.00~1.25%に下がりました。FOMCの緊急利下げは2008年10月以降で初めて。年初に1.9%だった10年物米国債利回りも、ついに1.00%を下回る過去最低水準まで低下しています。
今回利下げした理由を聞かれたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「見通しリスクが大きく変わった」からだと述べています。しかし、先に述べたように経済指標にあらわれる米国経済に、なんら問題はないのです。
しかし、これから発表される経済指標に、新型コロナウイルス感染による需要ショックが強く反映されているのなら状況は違ってきます。その意味でも今回の雇用統計は注目。結果が市場予想から大きくかい離することはないと考えていますが、仮に予想をひどく下回った場合、FRBに対して3月中の再利下げ要求の声が一段と高くなるでしょう。
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