気休めに過ぎない「200日線に注目」論

 欧米投資家の投資姿勢が変化すると、日本株はもろに影響を受けます。例えば、現物株において、2月第2週(2月10~14日)の海外投資家の委託分における売買シェアは71%でした。海外投資家が7割のシェア、これは有名です。

 これと同じものを先物で調べると、日経平均先物が82.8%、TOPIX先物が95.4%と驚愕の比率が確認できます。日本の株価指数は常に先物主導で価格形成されますが、その価格の決定力は完全に海外勢が握っています

 だから、日本人の感覚で理解しようと思ってもわかるわけがない…今回の急落で、下値メドいくら? という話になると「日経平均株価の200日移動平均線が2万2,200円くらいにあるため、ここを維持できるかが注目」とか言われますが、何の根拠もありません(なぜ注目か? と尋ねて合理的な理由を答えられる人もいないでしょう)。

 ちなみに、25日の夜、夜間の日経平均先物は安値で2万1,890円まで付けています。少なくとも、夜間に先物を売った海外勢にとって、200日線や節目2万2,000円など眼中にもないことがうかがえます。

とはいえ、短期的に注目される「日本人の感覚」

 ただ、日本株の動きをよく見ているからこそ、日本人の感覚が勝つこともあります。3連休で日本が休場だった24日の昼間、CMEの日経平均先物が急落していたタイミングでは、SNS上で「明日は絶好の買い場」なるパワーワードを多く見ました。

 実際、「急落は買い」はセオリーで、その神通力は強いといえます。崩れては戻す(壊しては直す?)を繰り返しながら、今年1月に2万4,000円台を付けたわけですから。

 例えば、「大幅安で始まった日に日経平均を買えば儲かる」-これは十分過ぎる実績があります。昨年の年初から今年2月26日にかけて、日経平均先物が“寄り付き200円以上の下落”で始まった日が30回ありました。

 この30回の中で、東京時間に上昇(終値>始値)したのが19回。つまり、大幅安の日に「寄り付きで買う→大引けで売る」を繰り返したトレードの勝率は63%ということになります。しかも、30回全ての取引トータルの騰落幅は+1,730円(ラージ1枚で計算すると、利益173万円)。逆張りは非常に有効で、2月25日も寄り付き980円安ながらザラ場は360円高、26日も470円安ながらザラ場は130円高とデイトレードでは勝利です。

 これほど逆張りが有効なのも、「強い米国株」の後ろ盾があったから。そして、後場の日銀によるETF(上場投資信託)700億円買いもあるから、ですが…。後者は変わらないとして、前者はどうなのか?