資産形成の活用法

篠田 中野さんには、実際に投資信託を運用されている運用会社のお立場から、資産形成に有効な投信の活用法を伺いたいと思います。

中野 (金融庁から顧客本位ではない商品と批判されたことで)毎月分配型投信ブームは終わったと思っていたのですが、復活しそうで危機感を感じています。

毎月分散型には注意を、と中野氏

 購入時の毎月分配型投信の分配金の水準が未来永劫続く可能性は極めて低いし、分配金は運用会社が決めるので、投資家が必要とする額を約束されるわけでもない。しかも、ぼんやりしていると元本がどんどん取り崩されてしまう可能性もある。

 毎月分配型の仕組みを使わなくても、資産の取り崩しができるというのは、岩城さんや野尻さんのお話の通りです。今後は、一定の金額を取り崩す定額ではなく、資産価格が低いときには取り崩し額が減少する定口売却や定率売却が金融サービスの主流になってくると思います。

 それに適した投資信託というのは、世界経済の成長軌道にお金を乗せて、国際分散投資で運用することを目指したものです。世界経済の成長率は3%程度が想定されるので、先ほどの野尻さんの「3%の運用」も実現できます。

篠田 世界経済の成長率は3%程度が想定できるとのことですが、安定した成長が見込めるのでしょうか。

中野 1987年から2017年の世界の実質GDP(国内総生産)をグラフ化すると、安定した右肩上がりの成長を続けていることが分かります。同じ期間、世界全体の株価は激しく上下しながら、全体としては上昇を続けています。多くの投資家の方は、株価変動の波に乗って資産を増やすことを考えがちですが、世界経済の成長軌道に乗せておけば、着実に資産を増やすことができるのです。