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 日本を訪れる外国人旅行者の数(『訪日外客数』)を知るには、JNTO(日本政府観光局)が発表する『訪日外客数』が参考になります。2月発表の『訪日外客数』(2020年1月推計値)は、1月が266.1万人となり、昨年1月の水準をやや下回りました。韓国からの『訪日外客数』の減少が続いています。一方で、東アジアや東南アジア市場を中心に、18市場で1月として過去最高を記録しました。

【ポイント1】1月の『訪日外客数』は前年同月比▲1.1%

4カ月連続の前年割れだが、前月からマイナス幅は縮小

 JNTOが19日に発表した2020年1月の『訪日外客数』(推計値)は266.1万人となり、前年同月比▲1.1%減少しました。『訪日外客数』の多い韓国市場の減速が足を引っ張りました。12月の同▲4.0%からはマイナス幅が縮小しました。

 一方、昨年は2月にあった春節が今年は1月になったことなどから、東アジア・東南アジア市場などで前年同月比で2桁の伸びを示しました。市場別では、中国、台湾、香港、フィリピン、ベトナムや、米国、豪州など18市場で1月として過去最高を記録しました。

【ポイント2】新型肺炎の影響はまだ表面化せず

 国別でみると、韓国市場は昨年8月以降、日韓情勢を背景とした訪日を控える動きなどから『訪日外客数』が半減する状況が続いています。ただし足元ではマイナス幅が縮小し、緩やかながら持ち直しの動きがみられます。

 豪州市場は航空会社の新規就航などが寄与し、単月としても過去最高を記録しました。

 新型肺炎の影響は、感染拡大から中国政府が海外団体旅行を禁止したのが1月27日からであったためまだ表面化しておらず、本格的に統計に反映されるのは2月分からになります。

【今後の展開】『訪日外客数』は大幅減少の見込み

 韓国人観光客の減少は今後も続くとみられることに加え、これまで好調だった韓国以外の国からの『訪日外客数』も中国を中心に新型肺炎の影響で大幅に減少することが見込まれます。昨年の訪日外国人旅行消費額は約4.8兆円でしたが、今後は観光や経済への影響が懸念されます。7月に始まる東京オリンピックを控え、新型肺炎の早期終息への取り組みが切望されます。