その2:配当金が増額傾向なのに株価が下がっているなら買い?
最近では業績もそこそこ良く、かつ配当利回りが高いという銘柄が増えてきています。誰もが知っている大企業の中にも配当利回り5%超、という銘柄がいくつかあります。
こうした中には、配当金が増額傾向にもかかわらず逆に株価が下がっている銘柄もあります。これを「さらに割安になっているのだから買い時である」とアドバイスしていました。
しかし筆者は、全くそうは思いません。逆に、配当利回りが高く、本来なら買われる状態なのに株価が下がっているという事実の方に着目すべきだからです。
配当利回りが高いのに株価が下がっている理由としては、確かに今は高配当だが将来的に業績悪化などにより配当金が減らされるというリスクを感じている市場参加者が多いからです。
特に配当性向(当期純利益のうち、どの程度の割合が配当金に回っているかを表す指標)は必ずチェックするようにしてください。配当性向が高い場合は、いくら現時点で高配当であっても、ちょっと業績が落ち込むだけで配当金が減額される可能性が高まるからです。
値下がりを続けている銘柄の配当金が減額されれば、さらに株価は大きく下がってしまいます。配当利回りの高低だけで銘柄選びをするのは高リスクです。
その3:月次売上が好調なら株価は上昇する
最近では3カ月(四半期)に一度の決算発表の他、毎月の売上高を自社ウェブサイトなどで公表する会社も増えてきました。
個人投資家としては、よりタイムリーに会社の業績の状況が把握できるため、歓迎すべきことです。
この月次売上に注目し、月次売上が好調なのにもかかわらず、株価が上昇していない銘柄は買い時であるというアドバイスをしている人がいました。
ただ、月次売上が好調なのに株価が上昇していないから直ちに買い時となるかといえば、その考え方は短絡的です。
特に飲食業の場合、月次売上の中には「全店売上」と「既存店売上」に分けて公表しているケースが多いです。このうちの「全店売上」に注目して、これが伸びているにもかかわらず株価が上昇していない銘柄は買いの候補だ、というアドバイスは誤っています。
なぜなら、重要なのは「全店売上」ではなく「既存店売上」だからです。
新規店舗を含む全店売上は、店舗が増えれば伸び続けます。しかし、新規店舗を除く既存店売上は前年比で見ることができるため、これが伸びなければ、その業態はすでに飽和状態にあると判断されます。
実際、全店売上は前年同期比で20%、30%も伸びているにもかかわらず、株価が下落し続けていた飲食業の銘柄がありましたが、その理由は既存店売上が前年同期比でマイナスになっていたからです。
月次売上は意外と注目している投資家が少ないので、狙い目とも言えますが、あくまでも重要なのは既存店売上です。全店売上がいくら好調であっても、既存店売上が好調かどうかで投資判断を行うようにしましょう。