「つみたてNISA」を活用した米国株への長期投資

 堅調を続ける米国株式も、想定外の材料をきっかけにして高値圏からいったん反落する可能性は否定できません。こうしたリスク(リターンのブレ)に左右されにくい投資法として注目されているのが「長期積立(定時定額)投資」です。「ドルコスト平均法」と「複利運用」のメリットを生かす積立投資は、米国の一般個人にとっては投資の方法論として一般的とされます。

 図表4は、米国株式(S&P500指数/円)の1989年(平成元年)以降の定時定額投資の成果を検証したものです。

 1989年1月を起点に「毎月3万円」をS&P500指数(円)に積立投資してきたと想定すると、投資元本の1,119万円(3万円×373回)に対し、時価の運用総資産は約6,044万円で約5.4倍に成長してきました(2020年1月末)。

「リスクを乗り越えてきた長期投資に相応しいリターン」がもたらされてきたことがわかります。米国では、「投資は投機(短期売買)ではなく、資産形成(貯めながら増やす=長期的視野で経済や企業収益の成長を享受する)」という考えが主流です。

 こうした考えにもとづき、日本でも「少額からコツコツと長期資産形成を始めたい」との初心者には、「つみたてNISA(つみたてニーサ:年間40万円を投資上限額とし最長20年にわたり投資収益が非課税となる少額投資非課税制度)」を利用した米国株投資は検討に値すると思います。

 つみたてNISA口座を開設後、米国株式連動型インデックスファンドを投資対象に選んで時間分散を実践すれば、米国株の長期投資をスタートすることができます。ご夫婦(ともに成人)なら、お二人分のつみたてNISAで投資できる合計上限額を年間80万円に増やすことが可能です。米国株の長期投資で「貯めながら増やす資産形成」を目指したいと思います。

図表4:米国株式の長期積立実績を検証してみる

*上記は参考情報であり、将来の投資成果を保証するものではありません。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1989年1月~2020年1月)

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