米国株式への投資興味が高まっている理由は?

 個人投資家が米国株式投資への興味を高めている理由としては、短期・中期・長期で米国株のパフォーマンスが日本株より優位であった市場実績が挙げられるでしょう。

 図表2は、過去約30年にわたる米国株、世界株、日本株の長期パフォーマンス(配当込み総収益)を比較したものです。平成元年(1989年初)を100とした場合、日本株よりも世界株が優勢であったことがわかります。その世界株の堅調をリードしてきた市場こそが米国株であったことは一目瞭然です。

 S&P500指数(配当込み総収益指数)は過去30年で約21.2倍となり、円換算ベースでも約17.6倍となってきました。残念ですが、日本株は世界株の足を引っ張ってきた市場とも言えます。図表3は、世界銀行が調査している米国と日本の名目GDP(国内総生産/ドル)の推移を比較したものです。日本のGDPは2012年をピークに伸び悩んでいます。

 一方、米国の名目GDPは成長し続けてきました。米国市場は、世界の資本主義経済の発展、イノベーション(技術革新)、株主価値の向上を主導してきたと言われます。時価総額加重平均指数であるS&P500指数を構成する企業には、新陳代謝の荒波に飲み込まれ構成銘柄から除外された企業もあります。

 逆に、市場が「勝ち組」と評価する企業の時価総額が増勢となれば、同指数の上位構成銘柄となります。最近では、大手IT銘柄群の「GAFAM」がその象徴例です。こうした「スーパースター」と呼ばれる銘柄群を主な構成銘柄とする米国株への長期投資を検討したいと思います。

図表2:内外株式の長期パフォーマンス(総収益指数)比較

*S&P500指数、MSCI世界株式指数、TOPIXそれぞれの総収益指数(1989年初=100)
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1989年1月~2020年1月)

図表3:名目GDPの推移で「日米成長格差」を比較してみる

*上記は米国と日本の名目GDP(米ドル建て)の推移を比較したものです。
出所:世界銀行(The World Bank)のデータをもとに楽天証券経済研究所作成(1988~2018年)