上昇基調の維持には2万4,000円台を抜けきることが重要

 次に少し期間の長い日足チャートでも見ていきます(下の図2)。

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2020年2月7日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 日経平均はここ2週間あまりの間に、株価水準が2万4,000円台から2万3,000円台割れ、そして再び2万4,000円台へと揺れ動いたことがわかりますが、先週の株価反発でいわゆる「ダブル・トップ」による下げの加速が回避されたことになります。とはいえ、ここで株価が伸び悩んでしまうと今度は「トリプル・トップ」が意識されることも想定されます。

 また、足元の株価の下落と上昇のそれぞれの場面で「窓」空けが出現していることで、空白地帯が形成されていることにも注目です。

 空白地帯は昨年の10月にも見られましたが、当時は75日移動平均線が株価サポートになっていることや、空白地帯が右肩上がりになっていて、その後の株価は一段高となりました。ただし、今回については、空白地帯が右肩下がりになっていることや75日線を下抜けたタイミングで出現しているため、上値の重たさが感じられると、窓を埋めにいく動きも考慮しておく必要がありそうです。

 そのため、今後の日経平均が上昇基調を保つには2万4,000円台を抜けきることが重要になってきます。先週の上昇の勢いがあれば十分可能と考えることができますが、実際には少し慎重に見た方が良いかもしれません。

 この2週間あまりの値動きは新型肺炎の動向が影響を与えているわけですが、「現在進行形」の状況であることに変わりはなく、不安を先取りして株価が下落し、期待を先取りして株価が反発しているだけの「ひとり相撲」と見ることができるからです。現在は受験シーズンの最中ですが、試験を終えてその結果が発表されるまでの間に、合格しているか否かで気持ちだけが先走ってしまう状況に似ています。

 しばらくはふらつくような値動きが続きそうですが、景気や企業業績などの実体経済に対して具体的にどれだけの影響があるのかについて、これから答え合わせの織り込みが行われることになります。影響が1~2四半期程度であれば足元の株価上昇は順当なものとなりますが、長期化の見込みとなれば株価が下方向への意識を強めることになります。となると、状況の全体像がある程度見えてくるまでは、日経平均はこの2週間あまりで揺れ動いた1,200円の値幅の範囲内で株価の落ち着きどころを探る展開になるというのがメインシナリオとして想定されます。