順張り・逆張りに関する結論とよくある誤解

 結論を先にいうと、順張りにせよ、逆張りにせよ、株価(や為替レートなど)の動きを見るだけでなく、背景にある情報を評価することが重要だということだ。価格の動きだけで背景にある情報は解釈できない。

 解釈にあっては、他の投資家がいかに間違えて、アンダー・リアクションないしオーバー・リアクションに陥る可能性があるかを考えることが急所だ。

 最後に、プロ・アマを含めて運用の初心者や証券マンが誤解しやすいポイントを2つ挙げておく。

 一つは、「短期は順張りが有効だ」と考える先入観だ。1年以内の短期間の運用では、「ここまでに上がってきた株」を買いたくなる人が多い。その方が手っ取り早く、かつ安全に見えるようだが、これは錯覚だ。

 もう一つは、「逆張りは危険だ」というものだ。逆張りも、順張りも、リスクに大差はない。株価が十分下落している場合に参加するなら、逆張りの方が相対的に安全だと言える場合も少なくない。株式投資でいえば、高すぎる株価以上に危険なものはないと心得ておくくらいでちょうどいい。

【補足】

 順張り・逆張りは古くから論じられているテーマだ。しかし、多くのものが、テクニカル分析に基づく検討価値の乏しいものだ。特に短期のトレードに応用しようとする戦略は、AI(人工知能)と高速取引を相手にする市場にあっては、敵の方が、パターンの発見も取引ルールの適用も修正も早くて正確だし、言うまでもなく取引の手も速いので、有効性が乏しい。個人投資家は、判断材料を増やし、期間を長く取るゲームプランを持つべきだろう。本稿は順張り・逆張りが有効な場合のそれぞれの背後にある経済的状況について考えている。ゲームプランを作る際の参考にしてほしい。