順張り・逆張りにも「背景」がある
とはいえ、前記のようなアドバイスだけでは、理屈としては正しくても、読者にとって面白くないのではないだろうか。実は、筆者にとっても退屈だ。
とはいっても、どちらか一つが正しいという訳ではないので、順張り、逆張り双方での「チャンスのパターン」をご紹介しよう。
アンダー・リアクション後の順張り
株式投資にあっては、比較的短期(典型的には数カ月位)の銘柄選択にあって、順張り的なアプローチが有効だと報告されるケースが比較的多い。いわゆるモメンタム投資が有効だとする報告だ。
ただし、この現象は常に有効だと言えるほど安定したものではない。単純な順張りでは勝率も悪いし、投資成果は安定しない。
順張りが有効に機能する場合の背景を考えると、たとえば、企業の業績予想が上方修正された時に、当初の株価の反応が、この上方修正の情報としてのインパクトを十分に織り込んでいない場合に、ある程度上昇した株価を見てからこの銘柄を買っても更に株価が上昇する形で順張りが有効になる。
情報に対する反応の遅れ(アンダー・リアクション)が見つかった場合にこうなるし、そうなる有力な理由の一つは、上方修正自体が一回目では十分に業績の改善を織り込むことが出来ずに、再上方修正が続く可能性が過小評価されやすいからだ。同方向の修正が続きやすい傾向は、業績予想修正のトレンド効果などと呼ばれるものだが、こうした可能性を含めて、投資家が上方修正を過小評価してアンダー・リアクションが発生した場合に、「結果的に」順張りが有効に働く場合がある。
結局、順張りそのものが有効だというのではなく、背景にある情報の解釈が重要だということになる。チャートのパターンなどを研究するのではなく、「何が起こっていて、株価が上昇しているのか」に関する見極めに時間を割く方が有効だ。