将来の相続税と生前の贈与税を比較して検討する

 相続財産が何億円もある資産家の場合は“110万円の非課税枠の中でコツコツ”では大した額の移転ができず、相続税の納税額は多くなってしまいます。

 その場合は、「将来の相続税額」と「生前に払う贈与税額」とを比較します。「将来の相続税額」よりも「生前の贈与税額」が少なくなる範囲で、積極的に贈与を行い財産を移転します。

 たとえば、310万円の贈与を10年間続けたとすると、合計で3100万円の贈与になります。この時、毎年20万円の贈与税が課され、合計は200万円となります。3100万円に対して200万円の贈与税と考え、実質的には約6.5%の税率です。

 一方、相続税の場合は、基礎控除を超える相続財産が1000万円以下であっても税率は10%です。つまり、贈与税が課されることになっても、贈与していた方が節税になっているのです。

(大久保 栄吾/税理士法人大久保会計 税理士)

※この記事は2016年3月25日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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