2020年の予想レンジは?

 つまり、現時点の線形トレンドで見た2020年の予想レンジは2万2,130~2万7,630円ということになります。ただし、値幅も5,500円と大きめですし、予想としてもざっくり過ぎるので、もう少し掘り下げて2020年相場の見通しを考えてみたいと思います。

 そこで注目するのが、天井圏と底値圏のパターンです。図2の起点となった2016年6月下旬がダブルボトムだったことは先ほども述べましたが、その後は線形トレンドの+2σの線に沿ったダブルトップが形成され、続いて▲2σに沿ったダブルボトムが形成されていることが図からも読み取れます。つまり、2019年の3つの局面を中長期のトレンドで捉えるならば、ダブルボトムの底打ちを描いていたわけです。

 足元の株価水準は線形トレンドの中心線付近に位置していますが、底打ちから戻りを試していると解釈すれば、「今後の株価が+1σ、+2σへと向かっていきそう」という期待が高まりそうです。

 ただし、実際にはそこまでスムーズに事が運ばない可能性があります。過去にさかのぼると、2016年にダブルトップで底打ちした日経平均は翌2017年に中心線を挟んでもみ合う場面がしばらく続き、もたつく場面がありました。そのもみ合いの場面では▲1σあたりまで株価が調整しています。

 さらに、調整に株価下落が大きくなる可能性にも注意しておく必要がありそうです。

■(図3)日経平均(週足)とボリンジャーバンド(2019年12月25日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は日経平均週足のボリンジャーバンドになりますが、ここで注目するのは「バンドウォーク」と呼ばれる箇所です。バンドウォークとは強いトレンドが継続している状況のことで、上昇相場であれば+1~2σ、下落相場であれば▲1~2σの範囲内を株価が往来しながら描かれます。

 足元の日経平均はまさに上昇相場におけるバンドウォークの最中に位置しており、すでに11週目に突入しています。過去にも同様に上昇相場のバンドウォークの場面がありますが、過去にさかのぼるとその期間がそれぞれ20週、22週となっていますので、日柄的にはもうしばらく上昇が続いてもおかしくはありません。

 ここで注意しておきたいのはバンドウォークが終わった時、もしくは+2σから株価が反転した時になります。どちらも反対側の▲2σ水準まで下落しているため、2020年の早いタイミングで調整局面を迎えると、株価が大きく下落する可能性があります。