※本記事は2009年10月22日に公開したものです。

 個人投資家の方と話をすると、「損切りの重要性は頭では分かっていても、いざとなると実行できない」という人が多いことに気づかされます。

 こうした「頭では分かっていても損切りが実行できない」個人投資家に有効なのが多くのネット証券で取り扱っている「逆指値注文」です。
 この「逆指値注文」を使えば、あらかじめ指定した損切り価格に株価がヒットした時点で、問答無用で自動的に損切りの売却を実行してくれます。

 でも、逆指値注文を使うと実際に損切りが実行されてしまうので抵抗がある、そもそも損切り自体をしたくない、という個人投資家が実は大部分のようです。

 筆者は「損切りの実行」なくして株式投資における大失敗の回避はあり得ないことを身をもって実感しています。それでもどうしても損切りしたくない、という個人投資家の声に応えて、どうすれば損切りしなくてもできるだけ大失敗を避けることができるか、考えてみました。

1.下落途中の株を買わない

 いくら好業績が期待できても、いくら高値から株価が大きく下がってお買い得に思えても、株価が下降トレンド真っ最中の株を買うという行為は、火中の栗を拾いに行くようなものです。塩漬け株が発生する可能性が非常に高いと言ってよいでしょう。
 例えば任天堂(7936)の過去の株価チャートをご覧ください。


(大証7974:任天堂 月足チャート)

 当時は誰もが認める優良企業で、業績も好調でした。しかし株価は、2007年11月に73,200円の高値をつけた後大きく値下がりし、2009年10月には21,630円の安値をつけました。高値から70%以上の下落です。

「あの業績絶好調の任天堂株が高値から半分になった。お買い得だ。」と思って、株価が下落途中にもかかわらず2008年10月に36,600円で買ったとしたら、わずか1年で買値の40%もの含み損を抱える結果になってしまうのです。

 さらに2012年7月には8070円にまで下落し、買値からおよそ5分の1にまで値下がりしてしまいました。

 その後はアベノミクス相場が始まり2018年1月には49980円まで上昇しましたが、株価が買値に戻るまでに9年も要することになったのです。
 任天堂のように株価が戻ればまだよいですが、そうならずに20年、30年たっても買値に戻らない銘柄も多々ありますので十分気を付けてください。

2.根拠なく適当に買わない

 損切りができるのであれば、直感的に「上がりそうだな」と思った株をなんとなく買ってみることも問題ありません。なぜなら、その株の株価が下がったら損切りすればよいだけの話だからです。

 しかし、損切りできないのなら話は別です。上がるか下がるか分からない中途半端な株価位置で買うのではなく、上昇トレンドの初期など上がる可能性が高い局面で買うようにしましょう。