先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し

 先述の通り、先週の上昇率第1位は原油[商品]でした。産油国の会合で生産調整の拡大が決まったことが主な要因です。生産調整に参加する産油国のリーダー格のサウジアラビアが、難航が予想された中、合計24カ国の産油国を束ね、一定の合意に達し、会合を終えました。

 ここで言う生産調整は、生産量を人為的に一定量減少させることを指し、世界の石油の需給バランスを引き締める効果が期待される施策の一つで、原油の“減産”と呼ばれます。現在は、OPEC14カ国とロシアなどの非OPEC10カ国の24カ国(例外国あり)で行われています。

 今回の会合で、減少させる生産量の規模を拡大することが決まりました。減産拡大決定により、今後、世界の原油供給の増加が鈍化し、需給バランスが引き締まる期待が高まったことで、原油価格が上昇したわけです。

 原油価格の変動は、米国などの主要な株価指数の変動要因になることがあります。2014年後半から2016年後半にかけて起きた原油価格の急落・低迷(いわゆる逆オイルショック)の際、原油相場が急落したことが一因となり、エネルギー関連株が下落し、エネルギー関連株の下落が、それらを含む主要株価指数の下落の要因になりました。

 また、原油価格の下落が原因で、世界規模の全般的な消費が減少するという連想が生じ、市場のムードが悪化し、主要株価指数が下落する場面もみられました。あの時、原油価格の下落は、エネルギー関連の株価下落と市場のムード悪化という、2つの意味で主要株価指数の下落要因になったわけです。

 今週、先週の産油国の会合の結果を受け、仮に原油価格が上昇すれば、上記とは逆に、エネルギー関連株の上昇、市場のムードの改善によって、主要株価指数をはじめとし、原油以外の景気に連動しやすいコモディティ[商品]、そして原油の値動きと比較的関りが強い通貨も上昇する可能性があります。

 今週は、米中貿易戦争の影響をデータで確認する意味で各種経済指標を確認しながら、原油相場の変動にも注目したいところです。

 

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