今週の見通し

 米中貿易戦争の改善期待、12月の利下げの可能性などにより、先述のとおりNYダウ[株式]、S&P500[株式]、ナスダック[株式]などの米国の株価指数の上昇が目立ちました。

 一方、貿易戦争で米国と対峙する中国の主要株価指数である上海総合指数[株式]は下落しました。また、それにつられるように、中国の景気動向が消費動向に影響を及ぼす傾向がある銅[商品]も下落しました。

 先週は、米国株価指数は上昇、中国株価指数は下落、という対照的な構図となったわけですが、中国の株価指数が下落したのは、先週発表された中国の複数の経済統計が弱い内容だったためです。

 14日(木)に発表された中国の鉱工業生産(10月)小売売上高(10月)は、ともに市場予想を下回りました。また、中国の都市部固定資産投資(1-10月)が記録的な低水準となりました。米中貿易戦争による民間におけるマイナスの影響が目立っていること、また、それに対する中国政府の対策が追い付いていないことなどが、株価下落の主因と言われています。

 今週は、中国においては先週のような比較的インパクトが大きい経済統計の発表予定はないため、先週のように、弱い経済統計をきっかけとした上海度総合指数[株式]の下落、および、それに起因する銅[商品]の下落は避けられるかもしれません。

 一方、今週は、米国の経済統計の発表が複数あるため、経済統計をきっかけとした米国の主要株価指数の値動きに注意が必要です。11月19日(火)に、住宅着工件数と建設許可件数が、22日(金)に、景況感を示す複数の景気指数が発表されます。

 また、20日(木)には、今年3回目の利下げを決定した10月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨が公表され、足元の米国の金融政策における利下げへの温度感が見えてくると考えられます。

 今後も利下げをすることに肯定的な意見が多かったことが明らかになった場合、12月も利下げ→景気回復期待高まる→短期的に米国の株価指数がさらに上値を伸ばす、という流れが生じる可能性があります。

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