米株価は連日史上最高値更新も、ドル/円に勢いなし

 11月に入ってからのドル/円は、米中通商協議と英国のEU(欧州連合)離脱協議の進展期待から109円台に上昇し、10月のレンジを上抜けようとしていますが、勢いはありません。

 中国サイドから米中関税撤廃合意との報道が流れ、109円台半ばまで上昇。しかし、すぐに対中強硬派のナバロ米大統領補佐官(通商担当)が「現時点で合意はない」と報道を否定。続いてトランプ米大統領も否定したため、ドル/円は売られましたが、その後も109円前後を維持しています。底流にマーケットの米中交渉への期待感があるように見える動きです。

 株式市場では、米株価は連日史上最高値を更新。日経平均株価も年初来高値を更新するなど株式市場は活況ですが、為替市場は動意が乏しくなってきています。

 トランプ大統領が関税撤回合意を否定しても、相場は大荒れしませんでした。また、英国総選挙も与党に有利な報道が流れても、ポンド高は続かず、ポンド/円上昇も長続きしなかったことから、ドル/円の円安のけん引力にはなりませんでした。ポンドは10月の急騰でEU離脱絡みの政治要因をかなり織り込んだようです。

 米中首脳会談は、延期されて12月開催で調整されているようですが、第4弾の追加関税実施予定の12月15日ぎりぎりまで、米中の調整は続く可能性があります。そうなると、マーケットはサンクスギビング(感謝祭、今年は11月28日)から始まると言われているクリスマス相場に入ってくるため、ますます動かない相場となるかもしれません。特にドル/円はこのまま行くと、昨年よりも年間値幅が狭くなり、円相場は「動かない」→「投資機会がない」→「取引しない」→「動かない」との悪循環に陥ってしまうかもしれません。