売られた株を保有し続けるという危うい選択肢
しかし、多くの個人投資家の方が、決算発表により大きく売られた株を売却せずそのまま保有し続けるという選択をしているようです。
その理由として多いのが、「決算発表の数値は決して悪くなく、株価は過剰反応しすぎ」「そのうち決算内容が見直されて株価は元に戻るはず」というものです。
確かに筆者からみても、「この決算内容でここまで売られなくても…」と感じることは少なくありませんし、実際に増収増益が続く成長株では、決算発表でいったん売られてもその後株価が持ち直すケースは多いです。
それでも、筆者はやはり決算発表で大きく売られた銘柄をそのまま保有する、ということは危うい選択肢だと考えます。
売られた株がもっと売られたらどうする?
筆者は2000年のITバブル崩壊や2008年リーマン・ショックなど、日経平均株価が60%以上下落、個別銘柄が5分の1、10分の1になるような大きな下落局面を乗り越えてきました。
筆者が25日移動平均線を割り込んだら保有株を売却するというルールを設けているのは、このバブル崩壊のときの株価の下落がどれほどまでに凄まじいものだったのかを肌で感じているからです。
筆者が多くの個人投資家に対して危惧しているのが、「その判断は本当に正しいのか?」という点です。
確かに決算発表で出された数値は良かった。でも株価は大きく売られた。この状況で、「決算内容は良いから株価は売られすぎ。じき戻るはず」という考えが正しいと、本当に言えるのでしょうか?
決算発表の数値は良いが、それが業績のピークかも知れません。そうなれば、特に成長株であれば天井を付けた後の下落はとても大きなものになります。正しいのは、決算発表後に値下がりした株価の方だ、という可能性も大いに考えられます。
もし、決算発表で大きく売られた株を「売られすぎ」として保有を続けて、さらに株価が大きく値下がりしたら、いったいどうするつもりなのでしょうか?
値下がりした株を持ち続ければ、やがて行きつくのが「塩漬け株」の発生です。個人投資家が使える資金には限りがあるのに、その大部分が塩漬け株により固定化してしまいます。
その結果、多くの銘柄が将来上昇トレンドになり買い時が到来したとしても、買う資金がなく、波に乗ることができません。実際、アベノミクス相場の初期に多くの個人投資家が波に乗れなかったのは、これが理由です。