東京エレクトロン
1.2020年3月期2Qは、26%減収、42%営業減益
東京エレクトロンの2020年3月期2Qは、売上高2,920億2,100万円(前年比26.2%減)、営業利益599億200万円(同41.8%減)となりました。
NAND型フラッシュメモリとDRAMの大型設備投資が続いていた前2Qと比較すれば大幅減収減益ですが、今1Qと比べると増収増益となっており、今2Qに業績が大きく悪化することはありませんでした。
主力事業である半導体製造装置部門の新規装置アプリケーション別売上高を見ると(表6)、DRAM向け売上高は前2Q854億円→今2Q516億円、不揮発性メモリ(主にNAND)向けは同じく1,024億円→476億円と大幅減収となりましたが、今1QのDRAM向け340億円、不揮発性メモリ向け196億円よりは増加しており、メモリ向け売上高の悪化には一定の歯止めがかかっていると言えます(アプリケーション別売上高は会社公表の売上構成比から楽天証券計算)。
また、ロジックファウンドリ(TSMCなどの半導体受託製造業者)向けは前2Q313億円→今2Q357億円、ロジック・その他(MPUなど)は同654億円→635億円と高水準であり、いずれも今1Q比で増収でした。TSMCの5ナノ投資、インテルのCPU増強投資が反映されていると思われます。
半導体製造装置部門の地域別売上高を見ると、今1Qから今2Qにかけて、日本、北米、中国向けが伸びました。反面、欧州向けは減少、韓国、台湾向けは横ばいでした。中国のメモリメーカー向けが大きくなっています。
また、フィールドソリューション売上高(部品、サービス、中古製造装置販売)は、前2Q761億円→今2Q758億円と堅調でした。業績にも寄与がありました。
表5 東京エレクトロンの業績
表6 半導体製造装置のアプリケーション別売上構成比と売上高(新規装置のみ)
表7 東京エレクトロン:半導体製造装置の地域別売上高
2.半導体製造装置の一部で売り上げが前倒しに。会社予想業績は小幅上方修正。
今上期の半導体製造装置売上高には前倒し分が一部含まれています(NAND、ファウンドリ向け)。また、エッチング、成膜、洗浄の各工程で新規案件の受注が進みました。
今上期におけるこれらの動きを見て、会社側は2020年3月期通期業績予想を小幅ですが上方修正しました。前回会社予想の売上高1兆1,000億円(前年比13.9%減)、営業利益2,200億円(同29.2%減)は、売上高1兆1,100億円(同13.2%減)、営業利益2,250億円(同27.6%減)に小幅上方修正されました。楽天証券予想もこの会社予想と同じとします。
今下期は、ロジックファウンドリ向け、ロジック・その他向けが大幅に増加する見通しですが、メモリ(NAND、DRAM)向けも今上期よりは売上高が増える見通しです。この見通しの通りに推移するならば、東京エレクトロンの業績は今上期で底入れしたと言えます。
3.来期は業績本格回復へ
来期2021年3月期は、NAND、DRAMの設備投資が本格的に回復すると予想されます。また、ロジック向け投資も高水準の状態が続くと予想されます。
これは、NAND、DRAMの在庫調整が今年から来年にかけて進むと予想されることもありますが、2020年から本格化する5G(第5世代移動通信)の普及が、5Gスマホに搭載される5ナノCPUだけでなく、同じく5Gスマホに搭載されるであろう3DNAND、高速DRAMと、高速データセンター需要(高速データセンターにも3DNANDと高速DRAMが搭載されます)を喚起すると予想されるからです。
楽天証券の2021年3月期業績予想は、前回と同じ売上高1兆3,000億円(前年比17.1%増)、営業利益3,100億円(同37.8%増)とします。業績は本格回復に向かうと予想されます。
今後6~12カ月間の目標株価を3万円とし、前回の2万6,000円から引き上げます。2021年3月期楽天証券予想EPS1,511.1円に想定PER20倍を当てはめました。引き続き投資妙味を感じます。
グラフ2 東京エレクトロンの半導体・FPD製造装置販売高
本レポートに掲載した銘柄:アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)